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おんどりとおばあちゃん

 おおきな はっぱが たくさんしげる はやしの まんなかに おばあちゃんの いえと そのまた となりに おんどりの いえが ありました。

 おばあちゃんは まいあさ まごのココといっしょに あまくて おいしい コーンを おんどりに とどけて くれます。 おばあちゃんは まいにち おんどりを だっこして せなかを なでてくれます。 
おんどりは とても きもちが よくて しあわせな きもちでした。
「おまえの はねは くろく かがやいて とっても きれいだねぇ」
おばあちゃんは まいにち おんどりを ほめてくれました。
おんどりは おばあちゃんが だいすきでした。

 しろくて さむい きせつのあと みどりのはっぱが たくさん めをだし はっぱになって おそとが ぼんやりと しろくなるあさ おばあちゃんは おんどりを かごにいれ はやしをぬけて そのまたさきにある おかの うえに あるいて いきます。

きに かこまれた おかのうえの まんなかに とても おおきな ほおのきが どっしりと たっていて おばあちゃんの あたまよりも もっともっと うえのほうに ぽつん ぽつん と しろくて おおきな はなが おそらにむかって さいていました。
そこは あまい においで いっぱいでした。

おばあちゃんは こんなひの このばしょが おきにいりでした。
「もう ほおのはなも おしまいだね。らいねん また こようね」
かごの なかから じっとおそとを みている おんどりの せなかを なでながら おばあちゃんは いいました。おんどりは うれしくて こっこっ となきました。

はれたひは おてんとうさまが ぴかぴかで おそとは きらきら おんどりは ちからが わいてきます。 そんなひは おおきく ちからづよく なきました。おばあちゃんは つよくて いい なきごえだ とほめて くれました。

あめのひは しとしと あめの しずくが ひんやり きもちよくて はっぱの みどりが いつもより こいみどり。 こいあざやかなみどりと あめの においに おんどりは むねが おどりました。そんなひは おばあちゃんは きまって おんどりと おさんぽを してくれました。

ごうごう びゅうびゅう あらあらしい あめと かぜのひは すこし こわい。そんなひは おばあちゃんが だいじょうぶだよ といって あまどを しめて くれました。あたたかい おうちの なかで おんどりは ほっと しました。

 おんどりは とても しあわせでした。

 はやしの はっぱが きいろくなって ぢめんに おちたら こんどは しろい さむい きせつの はじまりです。

 あるあさ コーンを とどけたのは ココでした。おばあちゃんは いませんでした。つぎのひも また つぎのひも ココが ひとりで コーンを とどけにきました。

おばあちゃんは あそびに いったのかな?

おんどりは おばあちゃんが おみやげだよ と とおいくにの おこめつぶを くれたひのことを おもいだしました。

 おばあちゃんが こなくなって しばらくしたあるひ ココは おんどりの まっくろの はねと おなじいろの ワンピースをきて コーンを とどけてくれました。ココは おんどりの かおを じーっとみて せなかを ひとなでしたら おそとにいきました。おんどりは こっこっ と なきましたが ココは ふりかえらずに いってしまいました。

 ゆきが たくさん ふった つぎのひは ココと おとうさんの ジョージが しろいゆきを かきだします。おんどりも キラキラひかる ゆきを まえあしで かいて おてつだいを しました。こんど おばあちゃんに ゆきをかけて いたずらしてやろう。

 それから また しばらくすると ふかふかの つちの においがして みどりで いっぱいの きせつに なりました。

 そのひ おそとは ぼんやりと しろくて あまい においが していました。おんどりは わくわくしていました。が、そのひ きたのは ココだけでした。おんどりは ココの せなかを みあげました。

おばあちゃんは こないの?

ココは ふりかえりました。
「あまい においがするね。おばあちゃんが とても すきだったよね おまえも おぼえてる?」

とても ちいさな こえでした。

 おばあちゃんは こないんだ。

 おんどりは そう おもいました。

 そうしたら とても かなしく なりました。めから なみだの つぶが ぽろ ぽろ ぽろん と おちました。あめのようだ と おんどりは おもいました。

 まいあさ ココがコーンを とどけに くると おんどりは おばあちゃんを おもいだして かなしく なりました。

 さむくて しろい きせつがきても おんどりは たのしく ありません。つちのにおいが におってきても おんどりは わくわく しません。おそとが みどりで いっぱいになっても おそらが あおく はれたひも おんどりは かなしくなるので おそとに でたくは ありませんでした。

 おんどりの めから あめみたいな なみだが でなくなったころ だいすきな コーンを のこすように なりました。おんどりは すこし ちいさく なりました。

ココとジョージが しんぱいして おいしゃさんを よびましたが ひげもじゃのおいしゃさんは、はて?どこも わるくないですよ と あたまを ひねって かえりました。

 そのあと ココとジョージは おんどりを だっこして せなかを なでて くれました。めを つむると おばあちゃんが なでているみたいで とても きもちが よいとおもいました。

 まんまる おつきさまがでて おそとは いちめん あおくて ぎんいろの そのばん、おんどりの いえに おばあちゃんが きました。おんどりは とても びっくりしたあと とてもとても うれしい きもちに なりました。

「りっぱな おんどり、とても きれいな はねだ。ほこらしいよ」
おばあちゃんは にこにこして おんどりの せなかを なでました。おんどりは とても しあわせなきもちに なりました。

おばあちゃん まいにち あえる?

おんどりは おばあちゃんを みあげました。
おばあちゃんは やさしく いいました。
「のぞめば いつでも」
おんどりは うれしくて ほっとして おばあちゃんの うでのなかで ねむりに つきました。

 おそとが あかるくなって おんどりが めをさますと おばあちゃんは いませんでした。おなかがすいて ついばんだ あまりものの コーンは とても あまくて こうばしい においが しました。

あおい おそらに もっくもくの くもが うかんでいます。 おんどりは おそとに でたくなりました。

コーンの おさらを もってきた ココが 
「あら、ぜんぶ たべたのね。よかった。げんきになってね、わたしの だいじな おんどりさん」
わらって せなかを なでて くれました。
おんどりは ますます ちからが わいてきて おもいきり こけこうこう となきました。ココは めを まるくしたあと おおきな こえで わらいました。

「りっぱな なきごえだ。おまえの こえが だいすきだよ」
おんどりは おばあちゃんの こえが きこえたように おもいました。
 おんどりは おばあちゃんの わらいがおと しわしわのてを おもいだしました。

「のぞめば いつでも」
ココとジョージに せなかをなでてもらうあさ、おそとが しろく ぼんやりして あまい においの するあさ、もっくもくの くもが ぽかん と うかんでいる おひる、おんどりは おばあちゃんを おもいだします。そして とてもとても しあわせな きもちに なるのでした。

おしまい。

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