「眠い」「頭痛」「ホラー映画を観ている」をイカします！　＃100日間連続投稿マラソン

　イカってなんだろ…という方はまずこちらからお読みいただければうれしいです(*'ω'*)

「眠い」

くコ:彡　くコ:彡　くコ:彡💦ﾋﾟｭｰﾝ

　前の席の伊佐君が揺れている。

　メトロノームみたいに右、左、右、左、頭が傾きかけて、戻そうとする、その反動でまた右へ。髪が濡れていて、肩にタオルをかけている。(たったいま、滑って床に舞い落ちた。) これはもう誰も悪くない。プールの授業のあとに古典を入れた先生のせいだ。全部、そう。

　教室の天井で古いエアコンが音を立てていて、ちょうどいい疲労感と息苦しさ、湿り気、白い光。伊佐君は優しいリズムで揺れつづけていて、黒板の和歌が見えたり見えなくなったりする。チョークの字が大きくなったり、小さくなったりする。先生が遠くにいたり、近くになったり、声は日本語じゃなくなったりして、白くなったり、淡い水色になったり、紺になったり、また白くなって、とてもとても濃い青になって、教室が歪んで、天井がひっくり返って、

　私はおでこに衝撃を感じた。

　まあ、いっか。

　甘いささやきがどこからか聞こえて、消える。

「頭痛」

くコ:彡　くコ:彡　くコ:彡💦ﾋﾟｭｰﾝ

　朝の九時を過ぎているというのに、空が暗い。

　スマホの画面が妙に光ってしまうので部屋の電気をつけた。まるで夕方だ。窓の外では、雨が物干しやバラの鉢、室外機に当たってはリズムのあるようなないような音を立てている。

　私はソファに横になった。　

　こういう日に限って薬を切らしている。最後に飲んだのはたしか前回の生理のときで、それから二回も薬局に出かけているのに買ってこなかった。今度こそスマホのメモ帳に残しておこうとして、でも断念した。光が目に強すぎる。目の周りを揉む。こめかみをほぐす。気休めにしかならない。

　私はタオルを水で冷たくしてよくしぼった。それからとなりの和室にある毛布を引きずってきて、またソファに転がった。

　濡れタオルを額にのせる。水分が染み出してくる。冷たくて、ほんの少しだけ和らぐ。指先でこめかみをゆっくりほぐす。

　誰かにやってほしいな、とか思う。

　

　

「ホラー映画を観ている」

くコ:彡　くコ:彡　くコ:彡💦ﾋﾟｭｰﾝ

　ぼくの身体はブランケットで包まれ、目は左右にいる兄と姉の指で格子のように隠されていた。耳は後ろに座るパパが塞いでいる。両脇がぴったりと身体を寄せているから身動きが取れないで、ぼくは暑くてもがいた。パパの優しいイヤーマフの隙間から、何やら不穏な音楽が聞こえてくるだけだ。

「くるぞ、くるぞ、絶対ここでくるよ、だってCMでここ見たもん」

　兄が荒い息で言った。

　ぼくは目を塞いでいる優しさたちをどけようとした。

「おい、やめとけって、お前が見ていいもんじゃないぞ、」とその瞬間、ものすごい悲鳴。姉の甲高い声、兄の雄たけび、顔がもみくちゃにされて、目の前が暗くなったり青白く光ったりした。パパが笑う。姉が倒れかかってきた。指がずれる。今だ！とぼくは顔の指たちを全部どけて目を見開いた。

　画面は、たくさんの誰かの名前が下から上へ流れているところだった。

　三人はみんなで大きなため息をついて、やばい、怖かった、などと言いながら笑った。両脇のガードが外れる。ぼくは兄の太腿をグーで叩いた。

 ＃100日間連続投稿マラソン 5日目でした！お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)

　何とか5日まで続きました笑　3日坊主もできない人間なのですが、みなさんがスキを下さるので、楽しくなっちゃって、今日も書けました(≧▽≦)

　いつも本当にありがとうございます！

　Twitterのほうに、イカ活動のお題「辛いものを食べる(食べた)」を載せたので、みなさんぜひイカしてみてください！

　では、また明日お会いしましょう(*'ω'*)/～～～