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「春がきた」をイカします! #100日間連続投稿マラソン


 今日はサトウカエデさんからいただいたお題をイカします!カエデさんありがとうございます(*´▽`*)

 



「春がきた」

くコ:彡 くコ:彡 くコ:彡💦ピューン

 朝ごはんの支度をしていると、ばあちゃんの足音が聞こえてきた。時計はまだ六時半を回ったところだった。縁側の戸が開く音、大きな伸びの声が聞こえて、しばらくすると白髪をくしゃくしゃにしたばあちゃんがリビングに入ってきた。

「おはよう」

「おはよう。早いじゃん、ばあちゃん」

「随分起きやすくなったよ」ばあちゃんはひとつあくびをして、洗面所に入っていった。

 私は味噌汁の鍋に火をつけた。ごはんを炊き忘れたので冷凍庫を漁り、カチコチの玉をふたつ電子レンジにかける。次はジューサーだ。りんご半欠け、バナナ半分、にんじんを少し、青汁の粉を一袋、ヨーグルト、その上から牛乳を注いで蓋をする。轟音。ばあちゃんが嫁入りしたときに買ったというガラスのコップに注ぐ。細かな傷だらけの表面がどろどろのジュースに埋まっていく。

「ああ、氷をふたつ入れて」洗面所からばあちゃんが言った。「もうそろそろ大丈夫だろ」

「急に入れて平気かなあ?」

「まだだめか、うん、じゃあひとつだけ。冷たいほうがおいしいんだよな。ああ、あれが咲いたよ、あの、ほら、黄色いの。ポンタの小屋のところにさ」

 レンジが鳴った。袖で手を覆って、ごはんを取り出す。

「何が?」

「ほら、黄色い花だよ、小さくてかわいいさ、あの」

「タンポポ?」

「ああ、それ。今年初めてじゃないかね、咲いてるの」

「二〇二〇年、第一号か」

 こたつテーブルに散らばるリモコンや薬の袋を脇に押しのけて、マットを敷く。味噌汁とごはんといくつかの漬物を並べ、氷入りのジュースを添える。ばあちゃんはもう一度あくびをすると、号令をかけて座り込んだ。

「どうも、いただきます」

 ばあちゃんが漬物をつまんだのを見届けると、私は戸棚からドッグフードと皿を取り出して廊下に出た。

 白い光が、縁側から満遍なく注がれる。空気はもう肌を刺さなくなったし、床から伝わる温度もだいぶやわらかい。思わず、頬が緩む。そろそろポンタの動きもよくなってくる時期だ。小屋のまわりを走り回って、柵にぶつかってひんひん泣くのだ。

 縁側から下りると、彼の白い背中が小屋のむこうで屈みこんでいた。名前を呼ぶが気づかない。もう一度。反応がない。私は歩いて行って、彼の耳元で声をかけた。

 ポンタが跳ね上がるように振り向いた。白くて長い毛がふわりと浮く。大きな目をしばたく。

 口元に、黄色の小さなかけらが貼り付いていた。

「食べちゃったの?」

 ポンタはひと吠えした。

「第一号だったのに?」

 ポンタはもうひと吠えして、口のまわりを舐めた。

 







 #100日間連続投稿マラソン 24日目でした!お付き合いいただきありがとうございました(*'ω'*)

 以前みなさんからお題をたくさんいただきました。一日ひとつとして数えてみたら、それで残りの日数を生きていけそうなことが分かりました!

 お題をじゅんぐり回りながらイカしていきたいと思います(*´▽`*)がんばります!

 それでは、また明日お会いしましょう(*´▽`*)/

 

サポートをお考えいただき本当にありがとうございます。