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おウチde俳句「第16回写真de俳句」分析(並選編)

「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」というサイトに会員登録しています。

その中に「写真de俳句」というコーナーがあります。
毎月発表されるお題(写真)を見て、俳句を投稿すると、夏井いつき先生に「天」「地」「人」「並」「ハシ坊(箸にも棒にも)」(+選外)を選んでいただけるというものです。
ハシ坊から順に公開される結果を確認するのが毎朝の楽しみです!

さて、毎月ものすごい数が集まるこの俳句データ。これを利用して何かできないだろうか?と思い、KH Coderというテキスト分析のツールを使って色々見てみました。
※良い単語を使うことで良い俳句が作れるとは限りませんし、ありふれた言葉を使った名句もたくさんあること、理解しております。遊びだと思って笑って見ていただけると幸いです!

■今回のお題:麗らかな川辺

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(出所:「夏井いつきのおウチde俳句くらぶ」HP記事、撮影者 直さん、https://ouchidehaiku.com/contents/502751)

どこまでも続く川沿いの道を犬と一緒に歩く。気持ちの良い写真ですね!
ルール上季節の設定はないのですが、投句締め切りが1月10日だったので、冬~春の俳句を作る方が多かったんじゃないかと思います。

■並選の傾向について

今回の並選俳句は2592句でした!(たくさん!)
(たくさんの投稿の中から並選に入った俳句はどれも素晴らしく、十把一絡げに語るのは難しいこと理解しています。)

①頻出単語

はじめに、「よく出てきた言葉」を見ましょう。
2592句全ての中からランキングしています。Top20です。

春、犬、冬、川、土手、風、うらら、光る
(「うらら」に関しては、17位の「麗」と合わせるともう少し多いかもです。)

1位の「春」は全俳句の19%に使われており、今回は春の俳句(それも直接的に「春」という言葉を使った俳句)が人気だったようです。
写真内に見られる「犬」「川」「土手」の人気も高く、もう少しクローズアップして「リード」「河川敷」といった言葉を使われた方も。
お題がお題だけに、自然物が多い印象を受けました。


②上位出現単語と一緒に使われやすい言葉


①で上位となった言葉、特に映像を持たない「春」「冬」と一緒に使われている言葉は何でしょうか。

まず「春」から行きましょう。「春」と一緒に使われる単語Top5です。

※統計スコアではなく合計数をランキングに採用

「合計数」は「春」と一緒に使われた回数ですが、その右に内訳があります。
これは「春」という言葉から見て何語ぶん左、あるいは右に使われたか?ということです。
たとえば、一位の「川」は「右2」が81中60と圧倒的に多くなっていますが、おそらくは「春の川」という使われ方がほとんどだと推測できます。

同様に見ると、「春の川」「春の土手」「春隣」「春の風」といったフレーズがよく見られるようです。
ワンちゃんもここでも人気ですね!犬と春を組み合わせた定番フレーズはないためか、犬の使われ方は結構散らばっています。

次に「冬」と一緒に使われる単語Top5

※統計スコアではなく合計数をランキングに採用

こちらは「冬の川」「冬うらら」「冬麗」「冬の朝」といったフレーズがよく見られるようです。
(冬うららと冬麗をまとめると一位になりますね。)

どちらも「川」が一位でしたが、2位以下の微妙な違いも納得のいく感じがします。
一例ですが、兼題写真を見て「春の風」という感じはしますが「冬の風」という感じはあまりしません。ちょっと寒そう過ぎるし、「風」という言葉にはこれから訪れる季節の方が似合うかなとも思います。個人的な感覚ですが。

③共起ネットワーク

ざっくり説明すると、
「よく使われた言葉・一緒に使われやすい言葉」を一覧化してしまおうというものです。
見ていただく方が早いと思うので、早速画像を載せます。

共起ネットワーク図

ごちゃっとしていますね。すみません。
こちら、同じ俳句の中に出現する単語同士の関係性の図です。
円が大きいほど出てくる数が多く、太い線で結ばれているほどつながりが強いことを表しています。
同じ色で塗られているエリアは、関連の強いグループということみたいです。

一番目立つのは左のほうにある「春」「犬」「冬」「川」のあたり(①でも上位に出てきた言葉たちです)。
春や冬、冬うらら、風光るといった映像のない大きな季語に、犬、あるいは空、川、雪、土手といった、自然物を含む大きな景色を描写した俳句が人気のようです。
そこから少し下を見てみると、「犬の散歩」に繰り出して、「土手青む」「草青む」「草萌える」といった足元の光景に着目する句も見られます。

それ以外のエリアにマッピングされた単語は出現回数こそ多くないですが、
例えば左上のオレンジのエリアには母と子の声が聞こえてきたり、
右上の青いエリアには人や鳥の影が見えたり、
リードを引いたり、父が凧あげをしたり、川面が光ったりと、エリアごとに何となく描かれている光景が見えてくるようでなかなか面白いんじゃないかと思います。

■次回、人選を……

取り急ぎ、並選句の傾向をご紹介しました。
次回、人選の方も見てみて、類似した傾向・違う傾向があるのか確認できればと思います。
せめて、第17回の結果が出る頃までには……。笑

本記事ですが、私は特にデータ分析や統計について専門家でもなければ体系的に勉強したわけでもありません。ググりながら雰囲気で書きました。
統計面でも俳句面でも、間違えている箇所があればご指摘いただければと思います。

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