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【セルフライナーノーツ】#3. 天秤【ノーマライズ】

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【「天秤」楽曲クレジット】

作詞:小田貴音 作曲:小田貴音 編曲:万貴音

天秤/万貴音


【楽曲解説】

万貴音のリリース楽曲としては珍しい、アコースティックギターと歌のみで完成された作品。ライブではほとんどアコギを弾きながら歌うスタイルなのに、アコギが主役になる曲って実は多くないんです。これは「アコギを活かした曲作り・アレンジ」を特に目指さず、曲によって好きに音を選んでアレンジするから(アコギが入ってない曲もあります)なんですけど、一回どシンプルに回帰するのも必要かな、と思って書いた記憶があります。

「古川本舗」という好きなアーティストさんがいるんですが、「シンガロン」というアルバムシリーズのスタイルが当時すごく好きで(フルアレンジ楽曲も大好物です、結構影響受けてると思います)、一度これに習ってみようと思ったのも大きい。この辺は【音の解説】の方でもう少し詳しく書きます。

歌詞についてですが、根幹はなんと「じゃんごーじゃんごー!」と同じだったりします。笑

空気や相手の顔色を読んだコミュニケーションって大切だけど、それだけでいいのだろうか?相手に合わせることだけ優先して、本当に伝えたいことは胸の内に閉じ込められてないだろうか?そうしてないと自分は、他人と関わることは怖いのだろうか。

性格でもあるんだろうけど、元々自分は喜怒哀楽の「感情表現」があまり表に出にくく(特に「怒」はよく言われてました)、でも中身は結構な気分屋、という面倒くさい人間で、破綻させがちなコミュニケーション事情に自己嫌悪してふさぎ込む時期もありました。相方や弟に相談したこともあったなあ。そういった過去もあり(今の自分のコミュ力がどうかは分からんけど。笑)、人との関わり方、コミュニケーションについて考えることが多かったからこそ出来た歌だと思っています。

相手がいてこそのコミュニケーションなので、一方的にまくしたてるのは完全に独りよがりだし、そんな人や過去の自分は「嫌い」。でも大事な人には自分の中にあるものを「知ってほしい」。その覚悟や勇気を求めている人の歌です。これで全くまとまった気がしないけども、何となくでも伝わってたらいいな。


【音の解説】

アコギのバッキングが1、ソロ(リード)が1、男女オクターブのメインボーカルと一部でハモり(計3)、という至ってシンプルな構成。男女のオクターブユニゾンの魅力を知ったのはスガシカオさんからだったんだけど、前述した古川本舗さんの「シンガロン」ではゲストの女性ボーカルとかなりの分量でユニゾンしてて、それを踏襲しています。

なんならリードギターのアプローチもそう。ボーカルの隙間でカウンターメロディ(オブリガート)を弾く、っていうアレンジではなく、裏でかなり自由に動き回る役割です。十分な検証までは出来てませんが、ソロボーカルだと耳が迷子になる気がします。ツインボーカルのオクターブユニゾンでメロディラインを固めることによって、裏で自由に動いても成立するんじゃないかと思ってます。

バッキングのアコギはコンデンサマイクで、リードのアコギはダイナミックマイクでマイク録りしてます。「コンデンサの方が音質いいのでは?」って意見も出てくると思うけど、自分はアコギを1本しか持ってないので、「質感の違い」をつけるためってのが理由です。コンデンサマイクは低音から高音までフラットに綺麗に録れるのが最大の利点(マイク感度の良さもあります)で、ダイナミックマイクは芯になる音域を狙って録るのには良い結果を得やすい。

例えばライブハウスでの爆音せめぎ合うバンド演奏だと、ボーカルマイクはSHURE SM58のようなダイナミックマイクを使う場合が多いです。上から下まで高エネルギーで発されるバンド楽器の中では「高低バランス良く綺麗に」だと音がカブりまくって埋れてしまう(マスキングっていいます)ことが多発します。ダイナミックマイクの「声に特化した音域を集中して入力する」特性によって、爆音の中でも埋れず前に出るボーカルに出来る、という理屈。帯域の譲り合いってすげー大事だったりします。

話を戻しますが、コンデンサで録ったバッキングで広い音域をカバーしつつ、ダイナミックで録ったリードのアコギは歌とは別で展開する「メロディ」を受け持つので、こういう差をつけてみたっていう話でした。結果が全てなんで、いい感じに聴こえてたら嬉しいです。笑

メロディについて。この曲はサビよりむしろAメロが特徴的だと思っていて、メロディにかなり句読点を打った作りになってます。「あめ、はれ、くも、りの、そら、みならって」っていう感じ。単語を途中でぶった切ってるので、全てが自然な日本語として聴こえないデメリットも浮かんでくる作り方でもあるんですが、その分リズムが立ったり、少しぶきっちょな雰囲気になる。言葉準拠ではなくリズム準拠のメロディメイク、有名なのは宇多田ヒカルさんの「Automatic」じゃないかなと思うんですが(関連記事こちら)、この曲ではこのアプローチがいいアクセントになってくれました。「メロディ覚えられない」を豪語する小田の母上でもこの曲のAメロはすぐ覚えてしまったという検証結果もあるぐらい。笑


【あとがき】

アレンジ大好き、色んな音鳴らすの大好きなのは今も昔も変わりないんですが、素材と塩だけで料理してみるっていうのをやってみた「天秤」。ライブでも結構よくやったし、音楽仲間からの評価も結構高かった曲でもあります。弾き語りカバーをする際の考え方としても、この曲から学べた点も多かったかなと思います。やって良かった。

そしてごめんなさい、この記事の文字数エグかった!笑

次回は「#4 dialogue」です。スモールサイズのテクノポップにして、「天秤」のアナザーサイドになる楽曲。お楽しみに。


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・シングル「クローバー」
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・シングル「優しい言葉」
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・アルバム「ノーマライズ」
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・アルバム「Ancient Collections」
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・シングル「ごめんあそばせ feat.桑原しおり」
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・シングル「にらめっこ」
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