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平凡な学生が、パリで大学院生になる②フランス政府給費留学生


マニアック人文学系/語学は日本で独学と、自信はないが、
研究に対するやる気はある学生が、パリで大学院生になっている経験を活かし、情報をシェアしていきます。

今回は、フランス政府奨学金(Bourses France Excellence Japon)についてです。
フランス大使館が毎年募集しているもので、学部生、修士学生、博士課程学生の全てで出すことができます。

幸いなことに挑戦1回目でめでたく合格をいただいた経験から、準備にどのようなことをしたのか/面接試験がどのようなものだったのかについて、共有できればと思います。

ただ私自身が、日本の博士後期課程在学中(日本での修士学位取得済)に、フランスの研究機関の博士課程に入学するタイミングで応募したので、
ここで書く情報は、学部課程・修士課程への出願についてはやや違う部分があります。
この点のみ、ご注意ください。



一次試験 書類審査

書類審査で準備するものは以下の通りです。

  1. Formulaire de candidature

  2. Curriculum scolaire et universitaire

  3. Lettre de recommandation

  4. Lettre d’acceptation

  5. Un projet de recherche ou d’étude

  6. Relevé des notes

  7. Certificat de langue

この中で、工夫が必要なのは「2. Curriculum scolaire et universitaire(学歴書)」「5. Un projet de recherche ou d’étude (研究・留学計画書)」かと思います

① 学歴書

日本の履歴書と違い、小学校以降の学校名が必要な部分がおもしろいですが、そのほかに研究経歴、職歴、発表論文、学位、資格を書く必要があります。
職歴については、アルバイトについても書いてもいいのかなと思ったので、私は「Expérience dans l'enseignement universitaire(⼤学教育に関する経歴)」として、TAやTF、RAの経験も書きました。

② 研究・留学計画書

フランスの大学院や研究機関に出願する際に、研究計画を出す必要があると思いますが、それと内容はほとんど変わりません。ただ和訳が必要である点は注意です。

二次試験 面接審査

オンラインと対面を選ぶことができます。

私は遠方なのでオンラインも選択できたのですが、対面の方がコミュニケーションは取りやすいなと思ったので、はるばる大使館まで行きました。

一次試験の合格発表は1月初め。書類選考による内部総合順位がつけられて、最終的一次選考合格者が決まります。

一次試験が受かった連絡とともに、1月末ごろに行われる面接審査の日時について連絡がきます。

私はあろうことか、この一次審査の合格連絡を受けるまで、面接試験の準備を全くしていませんでした。
準備しなければいけないものは、募集要項に書いてあるのでもっと前から準備できたのにと、地獄の面接練習をしながら後悔しました。
(受かったから良かったものの…一生この時の地獄は味わいたくないです)


面接準備① プレゼンテーション


受験者は、まず、パワーポイントを使って、留学計画のプレゼンテーションを行います。
10 分程度のプレゼンテーションですが、「パワーポイントをただ読み上げた場合は、減点対象」と書かれています。


私は友人である合格者から、「全く何も見ずにできるように原稿を丸暗記しろ」とアドバイスを受けていたので、丸暗記して、多少詰まっても9分40秒くらいに収まるようにしました。

10分間と言うのは非ネイティブにとって、かなり長く感じますが、幸いなことにプレゼンテーションの構成が決められています。

  1. 自己紹介(パワーポイントのスライド 1 ページ)

  2. 研究テーマ、留学計画の紹介(パワーポイントのスライド 2~3 ページ)

  3. 志望動機(パワーポイントのスライド 1 ページ)

自己紹介の部分には、渡仏経験などを書いてフランス語力を示してもいいですし、自分の経歴に終始してもいいと思います。
志望動機の部分には、フランス政府機関が選ぶ奨学金なので、少し研究から離れ、日仏の二国間交流に寄与しうることなどに触れるのも、
戦略的なのではと思います。

パワーポイントを作って、原稿を書いた時点で、必ず「フランス人教員」に見てもらいましょう。
(日本人のフランス語教員よりも、ネイティヴのフランス人教員がおすすめです。フランスのプレゼンテーションの作法を踏まえた添削を施してもらえます)

私は2度ほど、フランス人教員の前で暗記した上でプレゼンを行い、模擬問答もしてから本番に臨みました。
(添削後のフランス語が発音が難しい単語だったりするので、相談して簡単なものにしてもらった上で2回目の模擬面接をしました)

それ以外にも、家族や研究室で暇そうな学部生を捕まえては原稿を持ってもらい、
暗記できているか、発音は大丈夫か確認してもらったので、
準備を始めてから本番までの2週間で、30回は人前でプレゼンをやったと思います。

もちろんそれ以外にも、家事をしているときや道を歩いているときなど、喉を潰さない程度に自分でもそらんじるようにして、
「10分間フランス語を喋り続けること」に口を慣らし続けました。


面接準備② 想定問答


喋りの準備をする傍らで、10個ほど想定問答を作りました。

フランス人教員との模擬問答で出た質問や、今まで受けてきた他の奨学金試験で出た質問、
「フランス政府の奨学金」と言う観点から出そうな質問などを念頭に、

質問は2文か3文、回答は1分程度で作り、
こちらは文章を覚えると言うよりは、表現と単語を頭に入れておいて、取り出せるようにする認識で、準備しておきました。


面接本番


募集要項には面接試験について以下のように書かれています。

「面接試験は日仏混成審査員会により行われます。面接官はフランス大使館文化部の代表者に加え、アンスティチュ・フランセや日仏会館フランス事務所の専門家、日本人・フランス人の大学教員で構成されます。」
と書いてありますが、まさにその通りでした。

まず試験官の方がそれぞれ自己紹介してくださり、その後プレゼンテーション、そして質疑応答でした。

私が受けた時は試験官が3人いらっしゃって、プレゼン中はずっとこっちを見ていると言うよりは、適宜メモをとりつつと言う感じでした。(DALF C1の口頭試験と似た感じです)

詰まりつつでしたが、何とかプレゼンをやり遂げ、
質疑応答については、想定が難しすぎた(所属学会の全国学会レベルで作っていました)ので、思ったより答えやすい質問が来たと言う感想です。

ただ、質問の中で勉強しておらず、答えられないものもありました。
そこは正直に「〜と言うことはわかっているのですが、その点は正直あまり勉強していません。その視点は、〜の観点で興味深いので、今後勉強したいと思います」みたいな返事をしました。


長々と書きましたが、お役に立ちそうでしょうか。

アドバイスするとしたら、「準備は、最も厳しい想定でやれ」ですね。

この奨学金は、準備することでもフランス語力を上げるのに役立つと思うので、ぜひ積極的に挑戦してみてください。


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