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Harmonion två
『ムーミン谷の十一月』で
ムーミン一家が不在のまま
何となくスタートした共同生活も
終わりを迎え、先発のふたりと
橋の上で挨拶を交わす場面。
そこでのフィリフヨンカとスナフキンの
会話が旧版ではこうなっている。
「ところで、あのハーモニカのふしは、なに調でしたっけ。」
「ニ調だよ。」
ニ長調でもなく、ニ短調でもなく
二調というのが子どもの頃から
不思議だな…と思っていたが
原文を見てみると、フィリフヨンカは
ハーモニカのmärkeは何なのか、と
訊いていて、スナフキンンは
Harmonion två と答えている。
märkeは「マーク」「サイン」
「ブランド」等の意味で、
tvåは数字の2の意味。
うーん、märkeはサインの意味で
2番目のハーモニーだから
「ニ」としている?
でもそれなら原書表記は
D-dur(D major)か
D-moll(D minor )になるのでは?
ニ長調もニ短調も
スナフキンの曲のイメージに
合う感じがするが、
![](https://assets.st-note.com/img/1686451211111-eugWfUdVFh.png?width=1200)
フィリフヨンカは同じく19章で
自分のハーモニカを手に入れる
宣言をスナフキンにしているのだ。
散々悩んで、音楽にも詳しい
Thomas先生に訊いてみた。
旧版訳を説明した上で、
märkeはここではどういう意味なのか、
フィリフヨンカは自分のハーモニカを
欲しがっているから、どのメーカーの
ハーモニカを買えばいいのか指南を
仰いだのではないか、と訊いたら
ハーモニカの名前(メーカー・ブランド)
と即答されて、ほっ。
(ちなみにHenrikaも同じ返答だった)
![](https://assets.st-note.com/img/1686452968895-TBjMRcq0MZ.jpg)
ああ、でも旧版訳者の
鈴木徹郎さんはここも大変
苦労されたのだと思う。
辞書も充実しておらず、もちろん
ネットもない時代の翻訳作業。
「ニ長調」でも「ニ短調」
でもなく「ニ調」とされたところ
考えに考えてひねり出された訳では
ないだろうか。
![](https://assets.st-note.com/img/1686454301910-FU2hR8jGVq.jpg)
ちなみにエスペラント語で
ハーモニーをharmonioといい
対格でharmonionとなる模様。
「ところで、あのハーモニカはなんていうものなの?」
「ハルモニオンⅡだよ」
Harmonion tvåの 訳を
新版では「ハルモニオンⅡ」としたが
できることなら
シンセサイザーのProphet-5のように
Harmonion-2にしたかったな……。
https://fukusan.com/products/sequential/prophet-5/
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