囚われ続けた夢を手放したら


これはどこにでもあるようなことですが、

ある日、叶えなくてはいけないと信じてきた夢を手放したときのおはなしです。


俳優を職業にすること


私は今まで俳優になることを目標に俳優をやってきました。

今になって思うのは、職業俳優になりたかったのでしょう、お金が稼げる、俳優として与えられる仕事について考えることで、生きていきたかった。

こんな明日のお金の心配や、夢を追うのに残された時間や、そんなことを心配しながら生きるために俳優をやりたかったのではなかったのに、現実には俳優と気軽に名乗るだけで、選べるような仕事のない現実。


それでもわたしは俳優になりたかった。

周りの友達はよく、わたしのことを、俳優だとか、女優だとか言ってくれた。家族も親戚もみんな。でもわたしはずっとずっと、俳優を目指すただのアルバイトだった。自分では1度も俳優になれたと思ったことがなかった。


そんな私でも、夢を追うことは楽しかった。

だれかと理想や夢を語り合うのは楽しかった、

わたしはこうなりたいと明確なビジョンがあった。

でも、何もついてこなかった。現実っていうのは結局のところ、本当の痛いところを突きつけてくる。

わたしは本気でやれなかったのだ。

なにもかも捨てて、俳優を目指すことに身を任せられるほど大胆になれなかった。家族に迷惑をかけるのも、将来がぐしゃぐしゃになるのも嫌で、学ぶことだけに身を委ねるほどの余裕もなく、全てが中途半端のまま、ついに諦めざるを得ないときがきた。



好きなことだけで食って行くことが出来ないなんて、初恋の人とは付き合えないみたいなあの噂話みたいな、ねえ、そんな夢の中の事にしといて頂きたかった。

でも現実だった。


自分の中で不思議と夢を追う自分を許せなくなった瞬間が、唐突に前触れもなくきた。

夢を追ってる自分を好きだと思っていられる余裕すらなくなった瞬間が、突然きた。

ずっと小さいことで喧嘩していた彼氏に別れを告げるような、ずっと前から決まっていたことを初めて口に出したような感覚だった。


現実を見なくてはいけない。

俳優として売れたいと思っていた私自身、夢を間違えていたのだ。

そのとき、やっとわたしは俳優として売れることなんて1ミリも興味がなかったと気づいた。



好きな作品に貢献したり、好きなバンドのMVに出たり、好きな商品のCMに出たり、



私の夢の中に嫌なことに出会う予定がなかった。

自らの趣向と同じもの、わたしが好きなものだけ宣伝しては売れられない。好きな人とだけ仕事するなんてできない。わたしが伝えたいテーマだけの作品に出続けて、お金を得るなんて、シンデレラストーリーでしかありえないじゃないかと。

甘えてばかりの自分に気づいたら、手を上げて逃げたくなって、毎日毎日バイトばかり詰め込んで

眠ること以外には食べることと働くことしかしなかった。


働いて働いて、人よりもすこしいろんなことに気づくから、人に指摘ばかりして、なんとなく強くなったような気持ちで3ヶ月ほど過ごしてきた。


え、夢がないってこんなにも辛いの?

なんのために生きたらいいのかもわからない。

やりたいことでお金が稼げるようになったら、趣味のように一生演技はやり続けたいと思っていた。でもそんなときが来ないような気がし始めている。

それくらい日常というのはなにもかも奪っていく。

お金もなく、すり減らした体力と精神力、人を愚弄してなんとか持ちこたえる毎日。わたしはなんなんだろう。生きることを投げ出したい。

でも、わたしはそんな状態で終わりたくないからこの文章を書いた。

笑っていても笑えていないこのままの生活を一生のものにしない。必ずやれるだけのことをして、好きな人たちと生きていく。だれのせいにもしなくて済んで、罵声を浴びせられたり、浴びせなくても、生きることが出来る環境を手に入れる。


だから、なぜか

みんな、こんなつらい世の中で生きていてくれてありがとうって、思うの。

こんなに辛い世の中を懸命に生き抜いて、また新しい1年を迎えるみんながとてもとても輝いて見えて、


輝けない自分と向き合って、それでもがんばってるわたしを許して、明日も生きなきゃ。

また終わりが見えなくなってきた。

もっと素敵な人になれたらまた、つづってみようと思っています。


またね。



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