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生理のこと、舐めてました 後編

内診と血液検査の結果、腫瘍マーカーで高い値が認められるから、大きな病院で検査を受けるように、とのことだった。

(えっえっ…?何かやばいことになりそう…)

大きな病院には母親と行き、MRIや胃カメラ、血液検査と次々にさまざまな検査を受けた(だいたい、検査だけで半日以上時間を要したと思う)。
          ◇
結果は、「卵巣嚢腫」だった。
しかも、「開腹手術をして検体しないと、良性か悪性かわかりません。また、場合によっては卵巣をすべて摘出しなければならないので、将来、子どもが産めない身体になるかもしれません」と女医さんはいう。

一緒に話を聞いた母親はショックを受けたようだったが、いままで大病したことがなく、産むことについて考えたことがない自分には、ことの重大さがあまり理解できなかった。
          ◇
手術は、ベッドに空きがないとの理由で3か月後になった。
学校やバイトは執刀前後、1か月ほど休んだと思う。

茎捻転や痛みなどもなく、ただ、増大した腫瘍とともに、「その日」を待つことになった。
(腫瘍はすでに7cm以上に肥大していて、茎捻転のリスクがあった。捻れると、それはそれは激痛らしく緊急手術になるそうだ。カンボジアでならなくてよかった…)
          ◇
梅雨が明けた「その日」、わたしは入院した。主治医は女医さんだが、手術台に乗ったときには、研修医と思われる若い男性が複数人いて、少し嫌な気持ちになった。

気がついたら、麻酔で眠っていて、目覚めたころにはすべて終わっていた。

親は取り出された腫瘍を見せてもらったという。卵巣の両方にあった腫瘍は、直径8cmほどに肥大していて、「よくこんなものを入れていましたね」と女医さんから言われたらしい。

検体検査の結果は「良性」だったが、片方の卵巣をほんの少し残して、あとはすべて取り除いてしまったという。再発のリスクは稀にあるが、「産めない身体」になることを回避してくれたのだった。

手術をして10年が経過したが、いまのところ、再発はしていない。ただ、不順やおりものの異常などは時々あるため、都度、受診するようにしている。

婦人科系の病気、特に卵巣嚢腫は痛みなどの自覚症状がないまま進行してしまうことが多い。少しおかしいな、と思ったら、面倒だな、とか恥ずかしいな、という気持ちがあっても、婦人科に行ってほしいと切に思う。