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㊳カザンさんのこと ~伊豆高原からの便り その2


先週の続きで、カザンさんのメールを原文のままご紹介いたします。

http://salonfontaines.blog.fc2.com/?fbclid=IwAR0YqiHfigBZwGjqea71vuSYJLUChzbqFOI5mv2Zp83DWREFkm-jhec-qP0

(写真はすべてカザンさんのサイトの伊豆高原サロンの写真です。)

ガーデン


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どれが天職かと言えば、「造園(ガーデン)」が最もふさわしいと思うのですが、
僕にとっては音楽と絵画と共に、どれもが情熱を傾けるものであり、
それらが互いに影響しつつ自分の美の世界が形成されていると思うのです。

庭園は絵画的であり、色彩や形のシンフォニーのように時と光によって
刻々と変化する自然を媒体とするアートであると思わずにはいられません。
そしてそのハーモニーを見つけるために、
植物の形や色彩、花の咲く時期などを考え、
配置して確かめるという作業の繰り返しによって、
自分らしいガーデンが出来るわけで、
見る人に感動を与える庭を造るには
相当の歳月と労力が必要となります。

この作業は体が動く限りこれから残された人生のすべてをかけて取り組む事業であり、
現在の自宅(アトリエ)の庭は素材として実に魅力的な場所であるので、
そこでのガーデニングは
僕にとっての天職の場を与えられたということが言えると思います。

白ハト

さて、前回の続きです。

フランスの中でもロワール地方とブルゴーニュ地方の風景が絵の制作に魅力的だったので
そのどちらかの地方に住みたかったのですが、
不動産の価格がブルゴーニュの方が安く、
また地形的にも起伏があり、変化が多様だと感じたので
ブルゴーニュ地方で集中的に探しました。

ブルゴーニュ地方といっても広く、
有名なワインの生産地もありますが、見つかったのは
モルヴァン自然公園内の放牧場に囲まれた1ヘクタールの土地と石作りの小さな家でした。

最も素晴らしかったのは庭からの景色で、
200キロ先まで見渡せる絶好のロケーションで
自然の美しさに多くの感動を得ました。

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パリからブルゴーニュに移る前に
フランスの園芸雑誌でイギリスのシシングハースト城の庭園の写真を見て、
イギリスに渡り実際の庭園を見ましたが、
中でも白い花だけを集めたホワイトガーデンに圧倒され、
自分も同じようなホワイトガーデンを作りたいと切に思い、
荒地を開拓して少しずつ花壇を作っていきました。


(シシングハースト城ガーデン
www.nationaltrust.org.uk/sissinghurst-castle-garden)


一人では3000坪は管理できないので、
園芸雑誌でボランティアの若者を募集したところ、
当時は園芸ブームでたくさんの応募があり、
庭は8年間でかなり進み、
NHK-BSの「ヨーロッパガーデニング紀行」や多くの園芸雑誌に特集されましたが、
やがて園芸ブームが去り、
手伝いの人が来なくなってしまうと
とても一人では管理できなくなってしまったので庭を手放し、
2002年にロンドンに移りました。

ロンドンに移った理由は

フランスで通算15年暮らしたので
ラテン系以外の国で生活したかったのと、
もっとたくさんイギリスの庭園を見てみたかったからです。

それとブルゴーニュの家は200年以上前の家だったので
改装工事をして寝室やトイレを作り、
大工仕事は日常的にしていたのでロンドンだったら改装の仕事があると思ったからです。

実際ロンドンでは改装や造園の仕事があり、
とても忙しかったのですが、
一生イギリスに住むわけにも行かないと思い、2005年に日本に戻りました。

(次回に続く)

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