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㉞ロンドンでお世話になった方達

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(コッツウォルズ)

英国に住みたくて長期に準備してきたわけではなかったので、
最初は生活の基本的なことで戸惑うことも少なくありませんでした。

夫はロンドン転勤が年末に決まり、4月には新生活を始めていましたが、
私自身は退職時期の考慮を含めてそれなりに時間が必要で、
本格的に移り住むまでに、
数か月行ったり来たりをさせてもらいました。

幸運なことに、銀行時代の後輩が旦那様の転勤でロンドンに住み始めていて
気軽に相談できたり、
夫の会社の奥様達が生活の知恵など色々教授してくれましたし、
様々なアソシエーションがあり、程なく慣れていきました。

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2003年当時はまだネット上の情報はそんなには充実していませんでした。

細かいところでいうと、
日本のように軟水ではなく、硬水のイギリスでは、
キッチンにカルキ取り、洗濯機にも中和剤と柔軟剤が必須なんてことから、
(今では日本でも珍しくない)ティファールの電気ケトル、ドラム式洗濯機の扱い方、
Waitrose, Marks&Spencer, Sainsbury's 等スーパーや
新鮮な食材が手に入るマーケットの使い分け、
日本食材の調達方法、
Boxing Dayの
クリスマス・カードやプレゼントを届けてくれた郵便配達さんへのギフトは何にしたらよいか、
なんてことまで、
さっと聞ける人達が徒歩圏内にいてくれたのは本当に心強く有難いものでした。

この、勧められて購入した「英国 旬を食べる」(読売ヨーロッパ社)
というバークス文子さんの本は、今も手に入るのでしょうか。

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イギリスの食材は当然のことながら、
日本で買えるものとは形状も味も違い、
大変参考になりました。
読み物としても現地の風物詩を知ることができ、
大変興味深く今でも書棚に保管しています。

この表紙の写真にあるサイズのネギ、リークは
煮たり焼いたりすると甘くてかなり美味なのですが、
そのまま生で薬味にするには固すぎます。
日本のネギの代わりに入手するのであれば、
根っこの部分がちょっと丸くなっている
スプリングオニオンである、とか、

日本のキャベツの形状をしたものは葉脈も太すぎて苦みがあり、
キャベツの千切りにしたければ、ピーターラビットにでてくるような
先の円錐形にとがったポインテッド・キャベツが良い、とか。

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ふむふむと読んではいたものの、自分が調理するには手に余りそうで、
基本的な食材しか手に取りませんでしたが、フィッシュアンドチップスによく使われるハドックやスケイト、レッドマレット等日本ではあまり見かけない魚の説明など、外食する際にも大いに役立ちました。

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大抵の野菜は、特にきゅうりやナスなどのウリ科・ナス科のものは
大味で味が薄く、日本のものの方が美味しく思えました。
じゃがいもと、人参だけは、イギリスのものの方が甘くて滋味があったように思います。

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旦那様の仕事の関係でロンドンに長く住んでいらした方
イギリス人と結婚して長く住んでいる方
美術や音楽の分野の留学で来ている方

学生時代、銀行時代、その環境にいさえすれば、
必要な人脈が自然とできていたので、
異なるバックグラウンドの人と一から繋がるのは、
笑ってしまうような失敗も数々ありましたが、楽しく刺激的な経験でした。

私などは夫と自分のことだけなんとかなればよかったのですが、
異国の地で出産したり、現地校に子供を通わせ、
スパゲッティ・ジャンクションと呼ばれたラウンド・アバウトさえものともせず運転し、
アクティビティも積極的に参加されていた奥様達の
聡明さと強さはひたすら脱帽で、
ずいぶんと助けていただきました。

日本に本帰国後、旦那様とワイン製造の道を選び、ニュージーランドに移住した方、
ロンドン大学で博士課程を修了し、さらなる活躍をされている方、
現地の方と大恋愛に落ち、再婚し、日本語教師として活躍されている方、
それぞれに、「らしい」その後のストーリーが展開されています。

前述の「英国 旬を食べる」を紹介してくださったUさんは
だいぶご無沙汰していましたが、
先日イギリスで長患いの後、亡くなったことを知りました。

彼女が友人とバスク旅行をした際、
奇跡の水で有名なルルドで綺麗な小瓶にはいった水をお土産に
くださったことがありました。

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(引っ越し続きだったのに、なぜかこの小瓶は今も手元にあります)

「これ、シミとかシワに効かないかしら~」
と、渡してくれた、いつもウイットに富んでいた彼女の笑顔が脳裏に焼き付いています。

一昨年、自分がルルドに旅した時、
奇跡の水をたくさん汲んで彼女に届けられたら、と頭をかすめました。

とはいえ、そこまでのお付き合いが続いていたわけではなかったので、
ふと、よぎっただけに終わりました。

夫から彼女の訃報を聞いて、
彼女にしていただいた数々を思い出し、そうしなかったことを今でも後悔しています。

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(ウインザー)



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