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就活の時のちょっと泣ける話

訳あって幼少の時から祖父母に育てられた。
そしてまた訳あって、高校から埼玉の母方家族に引き取られた。
高校、大学と母達と過ごしたけれど、育った環境が違いすぎて生みの親なのに馴染めなかった。

大学4年の就活。
青森の祖父母の元に帰りたい一心で母達の意見を一切耳にせず青森ので就活をした。

東京での就活とは違い、電車で行けるようなところ企業はなく、青森での就活の移動は祖父母にしてもらっていた。

ある企業の最終面接の日、その日は面接が終わったらそのまま埼玉に帰らなければならなかった。
午後からの面接だったため、お昼ご飯を食べずに家を出た。
祖父母は面接が終わるまで車で待ってくれていた。
面接が終わり車に戻ると、祖父母は近くのスーパーでお弁当を買って待ってくれていた。

『ばっちゃん達は食べたの?』と聞くと、
『食べたから食べなさい』と返ってきた。

緊張で疲れたせいもあって、その時はお腹が空いていなかったので、帰りの電車の中で食べようと思った。

祖父母に別れを告げて、電車に乗る乗ってお弁当を食べた。唐揚げ弁当でもカツ丼勉強でもなくおいなりさんだった。

そして、レジ袋の中には割り箸が3膳入っていた。
私は思った。本当は2人ともお昼なんか食べていないんだ。
黙って私のことを待っていてくれたんだ。

思いが込み上げて大粒の涙があふれた。

甘いはずのおいなりさんが、
ほんのちょっと しょっぱかった。

誰かを想いやれる優しい人になりたいと思った。

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