親友が

親友が、この秋に結婚します。


私にとって彼女は、

ある意味私の人生を変え


ある意味私の人生を変えないでくれた人。



彼女がいなかった人生なんて、
想像できません。

想像したくありません。




出会いは高校生の時。


彼女はとにかく目立つダンス部で、
一年生の時からなんとなく名前は知っていて、

私の数少ない中学生の時からの知り合いと
夏の2ヶ月だけ付き合ってるらしいよと
風の噂で聞いた子でした。


高校3年生の時に同じクラスになりました。



彼女は、ダンス部のイケイケな女子。

私は、吹奏楽部の地味な女子。


彼女の優しくふんわりした雰囲気に、
何となく憧れていました。

誰とでも分け隔てなく接する彼女を、
尊敬していました。




そして5月のある日の放課後、

お掃除のために前に寄せた机のすぐ後ろ。



部活を引退してふわふわのパーマをかけて

ミントグリーンのカーディガンを着た彼女に



私は彼女の両手を握って、

彼女にこう言いました。

『私、あなたと親友になる気がする。』


心の底からそう思っていました。


運命を感じたのです。





そして数ヶ月後の秋、
私は推薦で進学先を決めました。




そしてさらにまた数ヶ月後の春


同じ大学の同じ学部に進むことになったと、

彼女が教えてくれました。




当時、高校3年の秋に、
私にとってとても衝撃的な出来事があり、

私は高校にも行かなくなってしまいました。



私は元々部活熱心で皆勤賞だったので、
それでも出席日数ギリギリで卒業しました。




高校を卒業してからは、

こんなに辛い思いをするなら

もう誰のことも大切に思うことはしない、と


そう心に決めていました。




もちろん大学には行くつもりでしたが、


サークルなんて絶対に入らないし、
ましてや友達なんて、


一人だっていらないと
思っていました。



その衝撃的な出来事を知っていた彼女は、


大学の入学式や
サークルのコンパや
色んなイベントに
私を全て誘ってくれました。



毎日毎日連絡をくれて、

一緒にやろうよ!
一緒に行こうよ!と
なんでも誘ってくれました。



彼女は、毎日、

今日も一緒に学校行こう

今日はこの電車乗るからね!と


どんな日でも連絡をくれました。




私は、大学に行かない日もありました。



途中まで行って、引き返す日もありました。


帰り道、駅で突然泣き叫ぶこともありました。



一人でふらふらして
知らない男性にお酒を飲まされて、

救急搬送されたこともありました。



彼氏に依存して、


こんなに私のことを気にかけてくれる彼女を
無視するようなこともありました。




正直、当時の記憶があまりないけれど、


今振り返るとひどいことばかりしたなと
本当に心が痛くなります。


あのときは本当にごめんね。




彼女は、それでも、
ずっとそばにいてくれて、
駆けつけてくれて、
必ず味方でいてくれました。

時には一緒に泣いてくれたし、

時には一緒に謝ってくれました。




彼女がいなければ、
大学なんてすぐ辞めていたし、


きっともっとひどい人生だったし、


こんなふうに普通に生きていたか分かりません。






こんな日々から数年が経ち、
私はなんとか更生していきました。

幸いにも私たちが通った大学は
更生するのに充分な時間を持てる
六年制でした。



彼女の支えがあったおかげで、
私たちは一緒に大学を卒業しました。






そして、
大学を卒業してから2回目の冬のある日、
私は彼女に、あるお店に呼ばれました。



卒業してからも頻繁に会っていたけれど、
彼女はその日、こんな話をしてくれました。




『私、あなたがいなかったら、
私もっとひどい人間だったよ。
だらしないし、適当だし。
私たちって正反対の性格だから。
いつだって、切磋琢磨してきたよね。
こんなに何でも言い合える関係なんて、
すごく貴重なんだよ。
世界で一人だけだな。
…なんて、こんなこと言えるのも、
あなただからなんだよね。』





『あのね、私、
今の彼氏と結婚すると思う。』


『まだ何も決まってないんだけどね…
でも、親友には一番に言っておかないとね。』




私は、涙が止まらなくなりました。



ありがとう。
私と親友になってくれて、
本当にありがとう。


親友だと思ってくれて、
本当にありがとう。





おめでとう。


親友が、この秋結婚します。




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