「放課後帰宅びより」2巻の華麗なる伏線回収に鳥肌立って欲しい(前編)
マリーンズ!マリーンズ!和田選手!和田選手!とやかましい私ですが、お忘れなきよう。
根っこは2次元オタクです(?)
というわけで、最近(といっても数か月以上前)出会ってはまった漫画をご紹介します。
既刊2巻ですが、とりあえず1巻のあらすじをドン。
ハハーン、理解。夢を失った少年と破天荒な少女によるゆるゆるラブコメ。
そう思ったでしょう。
半分正解です。
ぜひとも皆さんと「これで付き合ってない…だと…?!」と一緒に震えたい。
でも、私がこの漫画を紹介したい!と思ったのはそこじゃない。
主人公である瞬くんとヒロインの直帰ちゃんが絶妙にすれ違い、すれ違いながらも温かく関係が進んでいくところがすごいんです。
すれ違いのカギになるのは、あらすじにもある通り「瞬くんは中学時代にケガでサッカーの夢を断念した」ことです。
本記事では、この情報が瞬くんと直帰ちゃんの間でどう交錯していくのか、ここに焦点当てて見ていきます。
でもね、本音をいうと、これ読まなくてもいいのでとりあえず今すぐ原作買ってください。
※注意※
伏線の話をするので当然ネタバレを含みますし、逆に伏線に関係ないと判断した箇所はずばずば削っています。
ほんと皆さん……原作買いましょう……(遺言)
第1話「一緒に帰ろう」
佐藤瞬、高校1年生。
タッパの大きさゆえに運動部からのラブコールがやまない中、過去にケガをしたので運動部には入れないことを説明します。
漫画の定石かもしれませんが、モブって改めてすごいや。
モブ相手に説明し、またモブ自身が瞬くんの経歴まで説明してくれることで読者に必要な情報が皆手に入る。
おまけにこの作品においては、この状況説明に大量のモブを使ったのが後々効いてきます。
そして、その説明パートが一息ついてからの、出会い。
直帰ちゃん登場!
直帰ちゃんが勧誘したいのはハイパー帰宅部。運動は一切関係ないので、瞬くんは先ほどと同じ説明が使えません。
つまり、この直帰ちゃんは瞬くんがサッカーをしていたこともケガをしたことも知りません。
そしてなし崩しにハイパー帰宅部の活動に付き合わされ、寄り道と称して見晴らしのいい場所に連れられたところで直帰ちゃんの問い。
直帰ちゃんにとって瞬くんは、高校生活に楽しみを見出せない1人の後輩でしかないんです。
彼の言った「帰りてえ」が、自分と同じではないことだけは分かっていて、でも理由とか他のことは1つも聞かない。
掴めないキャラクターを全面に押し出しつつも、「こんな気遣い、普通のJKにはできんて……」という大人さも初回から感じてしまう。
第2話「コンビニ行こう」
放課後にコンビニ行くだけの話です。
本筋逸れますけど、漫画でコンビニが出てくると「どこがモデルかな?」って気にしてしまう。
そうだよね。消費量が違うもんね。
でも、あくまでも瞬くんの心の声なので当然直帰ちゃんには聞こえてない。
そして、店の前で夢の買い食いを果たしてから直帰ちゃんから瞬くんに活動日誌のプレゼントが。
高校生で交換日記を選ぶところに直帰ちゃんの言う”ロマン”が見えてきます。
直帰ちゃんはとにかく、瞬くんが高校生活で何か楽しいことを見つけてほしいんだね。
第3話「連絡手段を考えよう」
帰宅時刻がずれて待ちぼうけを食らう瞬くんに、直帰ちゃんのクラスメートと名乗る女の子が伝言してくれました。
彼女はバレー部なので、高1の時点で185cm(具体的な数字は後に判明)というタッパはさぞ魅力的だったでしょうが、直帰ちゃんに男バレ勧誘を止められていたようです。
※ハイキュー!!だと、音駒の犬岡くんが1年生で185.3cm。そりゃ欲しいねぇ……
ただ、直帰ちゃんから牽制されたということは、彼女も瞬くんの事情ありきで身を引いたわけではない様子。
そして、その理由が単にハイパー帰宅部の後輩を奪われたくなかったのか、他の何かを感じ取っていたのかは不明です。
まあでも、この時点では前者っぽい。
結局メッセージアプリはおろか電話番号の交換すらしないけど、彼女が人間関係に見出すロマンも見えてきました。
知っているから親しい、親しいから知っている……じゃないんだと。
第4話「勝利を目指そう」
球技祭回。
瞬くんのクラスメート、野球部のハルトくん初出演です。
とにかくいい子です。そして躊躇なく直帰ちゃんにウキウキしてくれるから「あ、直帰ちゃんは変人なだけでこの世界でも普通にかわいい部類なのね」と分かります。
不文律説明、まことに助かる。
瞬くんはこれまでずっと制服で描かれてきたので、体操服姿によってがっつりサポーターが出てきます。
瞬くんのケガは膝だったんですね。うーん、重たい……。
そしてここでも(直帰ちゃんではなく)ハルト君との会話により、瞬くんの状態が明らかになります。
体育は完全見学ではないが「全力ダッシュはまだダメ」程度。うーん微妙。
そしてそこに何の用もなく遊びに来た直帰ちゃん。
普通の漫画なら他学年の教室に来るには理由が必要なんですけど「直帰ちゃんだから」ですまされてしまうのがこの漫画の怖さ。
球技祭でソフトボールの試合に出る直帰ちゃんのため、ルールを説明してくれる瞬くん。
※野球部のハルト君はあっけなく敗退。分かる、分かる人ほど説明が細かくなるんだよ……。
一方直帰ちゃんは話を聞いているのかいないのか、瞬くんのサポーターに目を落とします。
直帰ちゃんはここでやっと、瞬くんが高校生活で楽しいことを見出せないこととケガの関係に気づくわけです。
ただし、ケガがサッカー絡みであることまではわかりません。
そんでもって瞬くんは、直帰ちゃんが瞬くんのサポーターに気づいたことに気づいていない。
むむむむむ、これは、本格的にアンジャッシュの予感……
第5話「傘をうまく使おう」
ラブコメ定番、相合傘回。
2人とも濡れないための相合傘フォーメーションを試していたところ、2人して尻餅をつき、瞬くんの上に直帰ちゃんが軽く乗っかる形に。
そこで直帰ちゃんの脳裏にサポーターがちらつきます。よく見ると目もハイライトがない。
直帰ちゃんの繊細さが出てます。カタツムリ見てもテンション上がらない直帰ちゃんなんて直帰ちゃんじゃない!
瞬くんもさすがに違和感を覚えたのか、家に帰ってからも首をひねる。
ね、分かりました?(何が?)
これがこの漫画の上手さです。
1話でさんざんモブ先輩に説明したことが伏線となって、瞬くんは直帰ちゃんが何を知っていて何を知らないのか分からなくなっているんです。
すれ違いを起こすための状況が大変上手に作られていて、初見で思わず変な声出ました。
第6話「テスト勉強しよう」
ケガにまつわるエピソードはなかったので割愛気味。
ここで触れておきたいのは、活動日誌に直帰ちゃんの書いた内容が明らかにされていることですかね。
内容は、瞬くんが高校生活を楽しめてるかそればっかり。おまけに1つ1つの記述エピソードが薄い。
それもそのはず、直帰ちゃんが瞬くんの事情を知らないから書きようがないんです。
彼の全てを知ろうとはせず、一緒に過ごした時間や瞬くんが話してくれたことだけ汲み取って慮ってるんですよね。
あー、直帰ちゃんが愛しい。
第7話「友達と行動しよう」
ラブコメ要素強めで伏線系はなし(多分)なので飛ばします。
普通にかわいいけどね!!!!!
第8話「川に行こう」
タイトルの通り、川に行きます。
あの、本当に、良い子じゃなくても真似しないでくださいね。
流れが緩そうに見えても、足首だけでも、簡単に全身持って行かれるんで。
で、溺れたら最後、誰かがあなたのことを命がけで助けに行きます。
というマジレスを挟みつつですね、河原あるある「子供たちがボール遊びしてたら飛ばしすぎちゃった~!」イベントが発生します。
瞬くんの足元に転がってきたのはサッカーボール。
明らかに爪先に来ていたけれど、瞬くんは手で掴んで返しています。
ボールを受け取ってまた遊び始めた子どもを見ている瞬くんを、直帰ちゃんは見ているだけ。
読者は瞬くんがサッカー経験者だと知っているので、あれが野球のボールだったら瞬くんも違う反応だったのかな~と思いますが、直帰ちゃんにはそれがわかりません。
知っているのは膝を痛めているという1点だけだし、もっと言うと彼女が知りたいのはそこですらない。
直帰ちゃんが質問したこと、しなかったことを考えると本当に深いです。
直帰ちゃんにとっては、瞬くんが何を失ったかよりも今どうなのか、これからどうしたら楽しめるかが大事なんですね。
このくらいの年の私は、親しい人あるいは親しくなりたい人だったら何でも知りたかった記憶があります。
特に、過去に何があったのかは訊かないと分からないから知りたくて仕方なかった。
だから、直帰ちゃんの瞬くんに対する優しさって本当に素敵だな~と思うし、それを丁寧に描く松田先生には尊敬しかない。
長くなったので1巻までにしておきます。
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