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学生とチロルチョコ⑤ 哲学に行き着く

#note100本ノック
Day 21

この100本ノックでは、英語が苦手と語る学生たちが英語を楽しむ学習者へと変わっていく要因を探求していきます。

この記事では、チロルチョコレートから始まった実践を紹介しています。この記事から始まり、今回が⑤になります。


今回も学生のコメントをどうぞ。

チロルチョコのようなウェブの英文のニュースを個人やグループで訳す取り組みは楽しかったのでまたやってほしい。

後期の学生の振り返りより

ちょっとちょっと自称「英語が嫌いで大の苦手」な学生さんたち、ウェブの英文のニュースをまた訳したい、ってマインド変化しすぎてます…。すごいな。

さて今回で完結します。イギリスにボイスレターを送った話からどうぞ。


MAKI、質問攻めにあう

もうね、この頃になると、授業が終わると学生に囲まれる笑 うれしい悲鳴。

「やっぱりイギリスの政策の根本は、教育なんじゃないか」と言い出す学生Aくんがいて…

Aくんの疑問:

日本で問題にならないことがイギリスで問題視されている要因を自分なりに考えた。日本では家庭でも学校でも食育が盛んで、栄養価に関する意識が高いように思うが、イギリスでの食育はどうなっているんだろう?もしかして、そこが足りないから、国が動かないといけなくなるのでは?

Aくんの話をわたしがまとめたもの

Bくんの疑問:

イギリスのお菓子を食べたことがない。日本のものと比較して糖質、脂質、塩分などは明らかに多いの?

Bくんの話をわたしがまとめたもの


もう、これはね。わたしが間にはいって文字で送るのもなんだから、二人の話をボイスレターでちえみさんに送るから。はい、じゃあ録音するよー。

ええっ、今ですか?!と言いながら、すぐ切り替えて、「MAKI先生のクラスで英語を習っているAです。MAKI先生のお友達さんの苦言からみんなでいろいろ考えているところなんですけれど…」と話し始めるAくん。なかなか頼もしいではないか。

続いてBくんも。この無茶振りによくぞ応えてくれた。ボイスレターは速攻でイギリスのオールライトちえみに送りました。



ボイスメッセージが海を越えて返ってきた

もう、本当にありがとう、オールライトちえみさん。お忙しい中、ボイスレターでお返事をくれた。しかも、3分にまとめる…といいつつ、7分近く話してる!

この熱い想いを、教室で学生たちと堪能いたしました。


学生とまとめたボイスレターの内容 


学生とまとめたボイスレターの内容


チョコレートの存在が、そもそも日本とイギリスでは大きく異なること。文化や歴史、果ては砂糖にかかる税金まで。

例えば、給食での指導が日本では「のこさず食べる」だけど、イギリスでは「好きなものを好きなだけ」であること、など。

また、栄養面での懸念だけでなく、倫理的な配慮からこの政策が検討されていることなどなど。学生たちはメモをとるなどしながら、興味深そうに聞いていました。


自分のアウトプットは誰かのインプット

このやりとりに関して、わたしはオールライトちえみさんのことばが印象に残っています。

自分のアウトプットは誰かのインプット、こんやってどんどん根を伸ばしていくのが本当に豊かだね~

オールライトちえみさんのFB記事より

大学生こそ、このアウトプットとインプットのやりとりをしないでどうする?

授業後にこの話をしていて学生が帰らない話をすると、ヨーロッパなんて大学は24時間開いてて、ソファに座ってみんなで議論してくださーいっていう環境だよねと。日本の大学には、そういう意識あるかなあ…。


その後…

この題材については、オールライトちえみさんと株式会社チロルにパッケージへのアニメ等キャラクター使用についてのメールのやりとりがあったり、わたしのお知り合いが、日本でのこの概念については、株式会社明治が明治NPSを策定したらしいと聞いたとか…話題が途切れないまま、後期の終わりを迎えようとしています。

このクラスでなかったら、チロルチョコレート の授業を受けられなかったのかと思うと、このクラスでよかった!と思うほどに印象深い題材だった。

学生の後期の振り返りより

私が後期で最も興味を惹かれたのはチロルについてです。日本ではパッケージにアニメや絵本のキャラを多く利用しますが、外国ではそれは子どもにとって悪だという人もいるいうことに大きな衝撃を受けました。

国によって、文化や考え方、社会性などがここまで違うんだと、とても興味が湧きました。

学生の後期の振り返りより

わたしの描いた授業デザインは途中まで。そのあとは彼らがともに探求を広げていきました。

自分と異なるものの存在に気づき、それを知ること。なかには、それが存在していることにすら気づかないことも多々あります。

そういうものが世の中にはあるんだ、ということへの気づきのきっかけがこの授業だったとしたら、こんなに嬉しいことはありません。


チロルは哲学に行き着いた

この話題が終わる頃、彼らの会話はこんな感じでした。

結局資本主義がいろいろ壊す
哲学っていうか宗教?日本ではどちらも弱い

Aくんの発言

フェアトレードの商品の品質なんだけどさあ、

Cくんの発言

砂糖を欲するのも、元々は甘いものがない狩猟民族の頃から
今はそういう欲に対して飽和してるから、

ていうかさあ、このネタでスピーチしようかな?(スピーチ のテーマ、学生にお任せだから)

Dさんの発言

文化人類学の授業でも、文化人類学は哲学だと言っていたな

Bくんの発言

ていうか、最後は哲学に行き着くのかもしれない、何事も、、、

Aくんの発言

ということで、学生たちの結論。「チロルは哲学に行き着いた」でした。

もちろん正解なんてありません、ゴールもありません。「モヤモヤ」が彼らへの最大のプレゼントだったのかもしれません。


「英語の授業」としての着地点は、

What do you think of the British Policy?

後期の筆記テストのQuestionのひとつ

に、英語で回答すること、でした。学生たちはモヤモヤを残しながらも、英語で自分の意見をアウトプットしていました。

授業で答えを出すことなんて、本当はできないのかもしれません。この題材との出会いが彼らの思考を耕し、この先の人生のどこかでそれを役立ててくれたらいいのかな。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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