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『学びを自分でデザインする子どもを育てる学校』を読んで
この本をいただいたので、読んでみた。
東京学芸大学附属世田谷小学校(2023)『学びを自分でデザインする子どもを育てる学校』.東洋館出版社
印象に残ったところをいくつか紹介したい。
はじめに
子どもが学びをデザインする環境を教職員がデザインする。
教職員がやることは「子どもの学びをデザインする環境をデザイン」。いや、ほんとそれ、だ。このことばにまず共感。
学びをデザインするとは「学びが自分(たち)のものであると自覚し、学びの目標、道筋、表現方法を思考し選択している状態」と本校では定めた。
こどもが学びを自分ごとにすることが大前提。ふむふむ。
これは本当に、何よりも優先させたいこと。しかし、既存の学校の当たり前からの脱却を伴うので、相当な意識とデザインが必要になるよね、と。
教育課程の特色
それを実現すべくデザインされたのが、Laboratory、Home、Classの3領域で教育課程を編成することである。
Laboratory
Laboratoryは、いちばんデザイン性が高く、目的や内容だけでなく表現も子どもたちが選ぶ。
いわゆる探求学習に近いとのこと。
中盤にかけていくつかのLab.が紹介されているのだけれど、これがかなり興味深い。
P58のてつがくLab.、p70のスポーツLab.、p86の食Lab.とか、実践の内容もかなり面白そう。自分がこの学校の児童だったら、このいずれかで全力で探求したと思う。
Home
次にHomeも面白い。つまりいわゆるホームルームが異学年構成ということだ。
Homeは縦割り編成で、掃除や給食などの生活作り。
以前勤務していた小学校は掃除が縦割り班だったのだが、これがなかなか面白い化学反応を引き起こし、学びにあふれていた実感がある。
これがどう機能していくのか、機能していくようにデザインできるのかというところが、この教育課程の注目ポイントではないかと感じる。
Class
最後にClassが、いわゆる普通の学校のクラスのあたるのだが、ここは児童のデザインの自由度がいちばん低く、教科の特性を生かして学んでいくとのこと。
既存の学校では軸となっているクラスでの学びの割合を低くすることで、子どもたち自身が「学びを自分でデザイン」する枠組みを大きくしていくチャレンジだ。
特にLab.とHomeのなかで、こどもたちがどんな風に育っていくのかが興味深い。
デザインを経験する場をデザインする
第4章で新しい教育課程への期待と課題、として東京学芸大学教育学研究科の藤江教授がデザインの価値、に触れている。
授業をデザインすることすらも、子どもたちに渡さねばならないということを改めて感じさせられることばだ。
「子どもたちに渡すことも含めたデザイン」をすることが教員に求められているということが、印象に残る。
例えばそれを、わたしがわたしの授業単体で行うとしてもなかなかのハードルではあるが、そこに学校全体で取り組もうとしているということだ。
この学校から、しばらく目が離せそうにない、と感じた。
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