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変わるもの、変わらないもの 1話(全5話)

これは、
彼女の再生の物語である。
 
 
生きることに真剣で
変わることに直向きで
いつも自分と闘い続けてきた彼女が
自身を見つめ直す機会となった
この自叙伝代筆は

わたしの創作活動に強い意味をもたらすこととなったのだ。



「恥の多い生涯を送って来ました。」
「わたしには、普通の女の子の生活というものが、見当つかないのです。」


さながら太宰治の世界から飛び出してきたような口ぶりで、彼女はそう語り始めた。


彼女がこの自叙伝を依頼した想いは
文字通り賭けにも似ていて
これを機に、
人生を棚卸す覚悟を決めていたのだ。


改めて言おう、
これは、
彼女の再生の物語である。



鏡よ、鏡よ、鏡さん
世界でいちばん美しいのはだあれ?


白雪姫は王家に生を受け、容姿に恵まれ、
継母の意地悪を受けながらも
森に隠れては動物たちと友だちになり
小人たちにも守られ、
夢に見ていた王子さまとのしあわせな暮らしを手に入れます。


それでは、今のわたしは?
逃げるようにして住み始めた寮生活で
わたしは何者かになる覚悟を決めたのです。


いつか王子様が、と歌う白雪姫は
可憐で、美しく、清らかで、素直。


それでは、今のわたしは?
いつになるのか分からないいつかを待つよりも
自ら王子様となり自分というプリンセスを救いだす、
誰かに頼るのではなく自らしあわせな結末を手に入れるのだと、
自分というアイデンティティの行く先は
ほんとうの意味での自立にこそあると
そう信じて、地の底から上目遣いに空を見上げます。



這い上がること。
それをわたしは希望と呼ぶこととしたのです。


BGM
ファイト!/中島みゆき

つづく

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