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#2_年の取りかた

私には祖母が3人いる。

母方の祖母がひとり、そして父方の祖母がふたり。
3人とも会ったことがあるのだが
健在なのは母方の祖母と父方の祖母(祖父の後妻≒父の育ての母)の2人。

この父方の祖母が驚くべき才能の持ち主なので
書き記しておこうと思う。

今日が90歳の誕生日である彼女は
40を過ぎてから中高生の子持ちの祖父(嫁に逃げられた猛烈営業マン)と結婚、
実業家として投資や会社経営を細々としながら父たち兄弟を育て、
結婚してから35年くらいで祖父を亡くし、
身体の不調で幾つかの眼や胃などの手術をし、
いまは自称「毎日が日曜日」なタダの小奇麗なおばあさん(90)である。

そんな彼女はiPhoneを使いこなし、
ヘルスケアアプリで歩数と消費カロリーをチェックし
アルバム作成アプリで海外旅行の思い出を形にし
映画アプリチェックして「向井理くんの主演の映画が観たい」と提案し、
「梨を送ったわ」とLINEで流行りのスタンプを送ってくる。

彼女の才能(特徴)は3つ。
(1)テクノロジーへの尽きせぬ好奇心
(2)イベントのプロジェクト化
(3)人生が楽しくなるかどうか、という物差し
この3つだけだ。

(1)テクノロジーへの好奇心
彼女は会社経営をしていたこともあり、非常にロジカルで好奇心が強い。
新しい技術や私たちの生活ぶりに興味を示し、こっそり自分で調べ上げる。
PCに興味を持ったのも「パソコン購入費をくれ」といった私の言葉から。
周りに聞くと「大学生になると買わないといけないのよー」と。
私が大学出るころには、近所のパソコン教室講座を一通り修め、15インチくらいのノートPCでネットサーフィンにハマっていた(らしい)。それがあれよあれよという間にiPhoneになり、iPadも登場した。
そしてついに一昨年には「そうそうマキちゃん、wi-fiのルーター新しくしたのよ♪使ってみて」と言ってきた。
いまや、両親が住む実家にさえ存在しない家庭用wi-fi環境が、祖母が一人暮らす家にはあるという何ともおかしなことに…。

「知らないことが分かるのはとても楽しいこと」で
「世界が広がる」のだそうだ。

(2)イベントのプロジェクト化
彼女はカチッとした目標とフワッとした目標をそれぞれ並行して走らせ、それをかならず達成している。

カチッとした目標の例:「海外旅行」または「家族旅行」
踏み台昇降用の台とか、筋トレのセットがリビングの次の間に置いてあり、誰もいない時間に取り組んでいる(と見られる。鶴の恩返しかというくらいに目撃者がほぼいない)。
フワッとした目標の例:お漬物、寿司
みょうがの味噌漬けとかを夏の終わりに大っ量につくる(冬のかぶら寿司とか馴れ鮨もそう)次の晩春~初夏におすそ分けしまくりつつ家族と食べる事を心の底から楽しみにしている。

(3)人生が楽しくなるかどうか
これは少し昔のエピソード。
明太子入りのブロックチーズにハマっていた彼女が、私と妹にも食べるように勧めてきたときのこと。「辛いものは苦手」といった妹に放った一言。
「あらそう。でも辛いもの食べられます!っていう方が人生楽しいわよー?」

これは私が転職しようと思う、といった時も同じ物差しが出てきた。
「仕事でも遊びでもいいけれど『来てくださいね』って言ってもらえる人で有りなさいね、その方が絶対楽しいから。」


私は(1)はできているが、
(2)と(3)は少々おぼつかない。

だが、どんな形であれ年を取ることが避けられないからには、彼女のようになりたい。

Happy  Birthday my dear Grandmother KINCO!

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