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母とミシン

数年ぶりにミシンを使いました。

最近はミシンを出すのが面倒で手縫いしてましたが、今回はカーテンを縫うために、引っ張り出しました。

2年前に他界した私の母は洋裁家でした。
小さい頃、夕食が終わると母は食卓でデザイン画をよく描いてました。
母はデザインから型紙起こしたり裁断・縫製まで全部やっていて、私は母の仕事を見るのがとても好きだったので、しつけ取りやまつり縫いなど小学生の頃からたまに手伝ってました。

ミシンも数台ありました。私が上京してしばらくして、ミシンが必要になった時、母が古い電動のミシンを送ってくれましたがやはり古かったのか調子悪くしばらくして壊れたので自分で安いミシンを買ったのでした。

その自分で買ったミシンのケースを久々に開けると、大量の系とミシン針が出てきました。
そのミシン針には母の字で「革用」とか「ニット用」など説明書きが添えられていて・・・当時はそれを見ても何も思わなかったのに、何だか涙が出てきました。

最後に母に会ったのは10年以上前。
母とはいろいろと確執があり、私も地元に長いこと帰ることはありませんでした。
そして母の突然の死。
結局死に目にも会えませんでした。

母に恨まれてると思っていたけど、それは私の勘違いだったんだろうな・・・母の字を見てると、もっと話をするべきだったな・・・そんなことを思いました。ミシンは母との絆だったのかもしれません。

何一つ親孝行はできなかったけれど、母から教わったことは私の中で生きていて、そして私はこれからもそれを抱えて生きていく。

生命とはかくも繋がっていくのかもしれません。また新たな糸を紡ぎながら。

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