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自律にどこまでフォローがいるのか。

社内で、自律型人材へという話が以前からあり、その方針や世の中の方向性を踏まえて、事業部内でも、組織の力を高めるためにと自律型人材育成の検討が進められている。

その中で、自律型人材が育ったり定着したりするためには、自律的にキャリアアップスキルアップのために手をあげられるしくみが必要ではないかという話が出ている。
自律的な人材が集まる組織である外資企業などが行っていてうまく機能しているようだということからの話。

キャリアデザインを支援しても、せっかく見つけたやりたい仕事ができるチャンスがないと、自律的に動きにくいのではないか、とか。
そんなしくみがないから自律的な人材が外に出てしまうのではないか、とか。
そういう課題を改善して、自律的にキャリアを考えて行動する体制をつくろうとしている。

それはいいと思うし、自律的な組織というのも、自律的なキャリアというのも、方針としては共感するのだけど。
それでほんとにいいのかなともやっとするところもちょこちょこある。

1番気になるのは、自律的になるようにするために、どこまでお膳立てするのだろうというところ。

新たな組織を全員手あげでつくるようにして、そこで新規事業をやる、という想定で。
そこでうまくいかなかったとか、のちのち解散するときとかに、手あげできた人たちのその後の保証がないと手をあげにくいのではないかという話が出てきた。

失敗したときや想定外のときの安心感があるとよいというのわかる。
だからといって、その後の保証ってなんだろう?
さすがに、部署が解散したり新規事業ができなくなったとしても、リストラにはならないだろうし。
会社にいることについては保証されているものだろうと思う(そもそもそんな程度の理由でリストラとか難しい)。
元の部署に戻れるかというのは気にする人もいそうだけど、元の部署があるか、元のポジションがあるかなんて、そのときにならないとわからない。

そんな不確実なリスクまで保証しないと手をあげられないなら、そもそも自律なのかな?と思う。
自分がやりたくて決めたことを、人にリスク負ってもらっておくのは自律じゃなくない?
そもそも普通に働いていて、意図しない異動などがあるものなのに、手をあげたときは希望の場所に戻れるって、なんか違くない?

キャリアを考えてやりたいことなどができても、トップダウンで降りてくるミッションを固定した組織でやるような体制だと、やりたいことをする機会が少なくて。
手をあげて組織やプロジェクトをつくれるような体制が必要だというのはわかる。

いきなりボトムアップで組織をつくるほどのことは難しいから、まずは組織つくって公募に手あげをするところから、というのも、まぁわかる。
きっかけとして入り口として、わかりやすく動きやすいしくみがあるのはよいとは思う。

でも、しくみや制度など整えたら、あとは見守って待つくらいでよくない?
自律的に手をあげやすいようにと、お膳立てしたり、お膳立てするところまで、しくみ化しなくてよいと思う。
それでは結局、自律風から抜けられないと思う。

そもそも、お膳立てしないと手をあげないだろう、という状況次第が課題なのだと思うし、それは組織風土の問題だと思う。
考え方やマインドや空気感とか。

しくみや制度をつくるだけでなくて、そういう点が変化するためのアプローチも、同時に必要だと思う。
自律的に動こうと思えることと、動いてみて大丈夫と思えた結果とが、自律を育てていくのだと思う。

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