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【読書】『欲望の資本主義3』 偽りの個人主義を越えて

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欲望の資本主義3: 偽りの個人主義を越えて 丸山 俊一 (著), NHK「欲望の資本主義」制作班 (著)  東洋経済新報社 2019/6

最高の知性が問う未来! 巨大化するGAFAへの懸念、そして仮想通貨への期待と不安が交錯する今、資本主義の行きつく先はどこなのか? 「市場」「自由」「個人主義」をキーワードに、多角的な視点から社会のあり方を再考する。(出版社による概要)

「あ~、やっぱ知の巨人の肩に乗るに限るわ~」というのが私の感想です。お正月のボーっとしている頭でも読めるのは、対談を編集している人の頭脳がキレッキレだからなんだと思います。感謝!

アウトプットしないとインプットできないので、大事な部分を箇条書きで書き留めておこうと思います。

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第1章 GAFAが変質させた資本主義のルール ~GAFAを斬る起業家 ギャロウェイ~

・GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は他の企業と同じ基準で規制・課税されていない。GAFAは市場を独占し、少数の雇用を生み出し多数の雇用を破壊している。GAFAは巨大になりすぎた。小さな会社に分割してそれらを競争させるべき。解決策は競争であり資本主義。

・ドラッカーは「経済の目的は中流階級を作りだすことだ」と言っている。中流階級は最高の善の源。かつてのアメリカの目標は多くのミリオネアを生み出すことだった。いまは少数のトリリオネアを生み出すことが目標になっている。99%が1%の召使になっている状況。IT長者を英雄に祀り上げ、他の人々は取るに足らないと思うようになってしまった。限度を超えた所得の不平等は戦争・飢餓・革命によって自己修正されてきた。それは避けなければならない。アメリカではゆるやかな革命が起きている。それが独裁的な大統領トランプへの投票につながった。

・中国は他国から巨大IT企業を誘致し知的財産を盗み、類似の会社を作った。ヨーロッパからは批判されているが、愚かなのはどちらだろうか。中国は独自の検索エンジンと独自のソーシャルメディアを作り、国内での利益を確保したのだ。ラテンアメリカやヨーロッパも同じ手法で利益の流出を防ぐだろう。日本にすすめたいのは、イギリスに習って巨大IT企業から益を得る施策を実行すること。

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第2章 世界の貧困層に金融サービスを提供できる仮想通貨 ~「仮想通貨」を開発する数学者ホスキンソン~

・仮想通貨には博打のようなイメージがあるが、実は国家の介入なしに誰もが同じ市場でフェアに競争するためのツール。世界には卓越したアイデアを持っていて世界レベルでの競争力と聡明さを持ちながら競争力を発揮する市場に参入できなくて貧困に喘いでいる人が何億人もいる。逆に言えば世界には何兆円もの価値が眠っているということ。仮想通貨やトークンは彼らが市場に参入する機会を与える。そこには腐敗した政府や妨害する隣人がいない。

・GAFAは私たちの生活を豊かにした。だが、「必須の」仲介者になってしまってはいけない。「価値ある」仲介者であるべき。いまの世界をたとえるなら、旅行にいくのにツアーガイドを雇うことが「唯一の」方法になってしまっている状態。思ってもみない出会いや再会を求めるのに必要なことがフェイスブックにアカウントを作ることだったり、グーグルで検索することに限られているのがいまの状況。

・私たちはGAFAの提供するサービスを無償で享受する一方で、購買履歴や嗜好、個人情報などの魂を売っている。これらの問題を解決すると期待されているのがブロックチェーン技術。Uberなどの賃金や情報を吸いあげる「仲介者」がいなくても成り立つ方法。ブロックチェーンを利用したスマートコントラクトや、Braveというブラウザにそれが期待される。ブロックチェーンは時刻印つきで事実を記録する改竄不可能な台帳。権力側に都合が良かろうが悪かろうが操作・改竄することができない。

・仮想通貨やブロックチェーンが作る市場は、世界政府を作らなくても最適な規制を実現できる可能性を秘めている。適者生存のダーウィン的な手法で規制する、熱帯雨林のように自己進化や自己回復力を持つ市場である。

起業家、市場や科学の目標は、善を成したい人にその機会を与えることです。善を成しつつ成功することです。それができれば、世のなかはいつだってより良い場所になります。

丸山俊一 #ギャラウェイ #ホスキンソン #資本主義 #GAFA

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