私がAURORAにハマったワケ
ノルウェー出身のプロデューサー兼シンガーソングライターAURORA/オーロラ
ほんとに大好きで大好きで学校サボってロンドンまで観に行ったりしたけど、そもそもなんでこんなに彼女に魅了されてしまったんだろう?
私が今までに死ぬほどハマったミュージシャンのほとんどは、UK出身のおじさんロックバンド。なぜいきなり北欧のインディエレクトロポップガールにハマったのか、詳細に振り返ってみる。
はじめてオーロラの音楽に出会ったのは2015年の冬。ケイティペリーが絶賛しているなど1mmも知らん。当時私は高校1年生だった。
オーロラの音楽に出会うより前にわたしはUKロックにハマっていた。もちろんoasisも好きだったわけで大体の情報は追っていた。
そんなときにオーロラがジョンルイスのCMで彼らの楽曲をカヴァーしたことをNMEの記事で知った。
“大手百貨店チェーンのジョン・ルイスの恒例のクリスマスCMで、ノルウェー人歌手のオーロラがオアシスの“Half The World Away”をカヴァー”
えらい綺麗にカヴァーされた同曲を私は気に入ってよく聴くようになった。少し独特な歌声と落ち着いたテンション。
そのときはノルウェーのミュージシャンなんて
a-haぐらいしか曲を聴かなかったので物珍しく感じた。
HTWAのカヴァーがリリースされると賛否両論の意見が飛び交った。「名曲をぶち壊してる」だの「最低なカヴァー」だの「今すぐあのCMを中止しろ」だの、oasisのファンはいつでも過激だな。しまいにはノエル本人も嘆きはじめた上にアランマッギーも「くだらない」と声明をあげた。
お前ら大人やろが。
オーロラは当時19歳。まだシングルを数曲とEPを1枚リリースしただけの若手だっただけに、この件ではかなりダメージを受けたのでは.....つらかったと思う。
私は中学生のときからなぜか急速に白毛が増えはじめ、高校に入ると頭髪服装検査で白髪染めを言い渡されるほど白髪が多かった。
あつかましいことを言うけどオーロラの真っ白な髪に親近感を感じたりもした。わけが違うけどな。
女の子が髭モジャのおじさんたちに囲まれて歌うのを見るのはなんだか少し不思議な感じだった。
暗い。いろんな意味で暗い。
そして何より手がうるさい。手が歌ってる。
なんだかどんどん惹き込まれた。
このRunning With The Wolvesのバックで流れているティリリティリリティリ ティリリティリリティリというバリバリ電子音メロディも私にとっては新鮮だった。
よく考えればそれまであまり意識してエレクトロを聴いてこなかった。強いて言うならPet Shop Boysぐらい...?
捻くれてるので「エレクトロ」というその言葉の響き自体を少し避けていた気もする。
Running With The WolvesやUnder Starsはドラムがドコドコしていてめちゃめちゃ好みだったしすぐにスキーーーーーーーーーーー✨となった
そのすぐあとの3月に1stアルバムをリリースすることを知った。プロモーションでよく使用されたConquerorは今までの彼女の楽曲に比べるとかなり楽しそうな音で新作への期待が爆上げ☝️☝️☝️
私は父親のことが嫌いなので、父親のAmazonアカウントを使い勝手にデラックス盤を注文した。地味な復讐。
イギリスから届いたのはリリースから11日後。
All My Demons Greeting Me As A Friend
1stはとにかくダーク。希望の光はごくわずかだが戦闘力を兼ね備えていた。
本編では「家に帰りたい」からはじまり、最後は美しいファルセットと共に黒いハスに生まれ変わる。完璧すぎる1stアルバム!!
まだ十何年しか生きていないのに死を受け入れる覚悟ができてるような歌詞。世界に追い詰められたような音。どうやったらこんなに切羽詰まった歌声を出せる?ずっと自分の居場所が見つからなくて苦しんでいるようにも感じる1枚。
フィジカルリリースされなかったシングルとEPは期末テスト期間中に欲が爆発してiTunesで全部購入した。
SoundCloudやYouTubeにアップされていたアンリリースの楽曲も聴き漁った。
気づいたらオーロラの悲しく冷たいポップな音楽は私の生活には欠かせない存在になっていった。
当時オーロラに関する日本語の記事は、oasisのカヴァーに関するもの以外はほぼ存在しなかった。あっても「ノルウェーのAURORAがデビューアルバムをリリース」ぐらい。日本語Wikipediaももちろんなかった。
英語は得意じゃないけどがんばって情報を集めた。だけど当時は英語の情報もそこまでなくて、ノルウェー語のインタビューばっかりで挫折した。
日本でのファンを全く見かけないままAURORAはGlastonburyなどの海外のフェスやライブにどんどん出るように。
やっと少し見かけるようになった彼女に関する日本語の記事は、よくBjorkと比較されていた。
オーロラはいつも長いスカートでステージに立つ。脇は出すけど脚は出さない。キレキレのセクシーなダンスは踊らない。激しく動くのは腕だけだし、楽しそうに踊るのはConquerorのときだけ。歌うのはラブソングではなく孤独や死。流行りの太眉にはしない。頭には蝶のクリップと軽い三つ編み。集めているのはブランド品ではなく蛾の死骸。頭皮の半分以上を刈り上げていた。
だから私はオーロラが好き。媚を売らないし自分らしくいる大切さを改めて気づかせてくれた。アウトサイダーでもべつにいいじゃん!
だけど日本のメディアはあまりこういうのを好まないことも知っている。
高3のときに「オーロラの日本デビューについて検討してください」という趣旨のメールをレーベル側に送ったがあっけなく無視された。(日本デビューはそれから2年以上あと)
彼らが率先してプロモーションを行う女性アーティストは、切ないラブソングを歌うシンガー。トレンドをおさえたルックスとセクシーな表情。キュートなミュージックビデオ。(のちにBillie Eilishの爆発的ヒットによりこれらの例はブッ壊された)
「これ絶対日本のティーンにもウケるでしょ?」
みたいなかんじ。わたしはこういうのが嫌だった。そういったアーティストを批判しているのではなくて、プロモーションの仕方が楽曲ではなくルックスに重点を置いているように感じるからだ。
売り込むときのキャッチコピーも「かわいい」「妖精」「天使」ばかりで正直うんざりする.....歌っているときのオーロラの目は殺人鬼のような狂気に満ちているのに...!!!
......話が脱線しかけたけど、オーロラはすでに世界中で人気を集める注目のミュージシャンだったにも関わらず、日本では無視されてきた。
こんなにすてきなミュージシャンがいるのに...と、オタクはずっとくやしかった......だから学校やSNSで愛を叫び続けた.......そしてファンアートもたくさん描いた.........
2017年の年末に、ニーダロス大聖堂で行われた特別なコンサートが配信された。これは今でもいちばん好きなライブ映像。
普段のバンド編成とは異なり、弦楽隊や男声合唱団、パイプオルガン、ハープ奏者を迎えた超豪華なステージ。
いつものエレクトロポップ全開なライブとは対照的なとてもエレガントな音。元から大好きだったWalking In The AirとLife On Marsカヴァーも披露。
全てが特別で美しいんだけど、なかでも最高だったのはLittle Boy In The Grass(カメラワークも天才)、Under Stars、Winter Bird。
そして何よりIt Happened Quietが最高.....
このライブでは子供に絵本を読み聞かせるような歌い方をする。しかしその歌詞の内容は冷たく悲しい自殺について。豊かなボディランゲージと悲しみに満ちた表情。身体全体で音楽を表現している。まさにストーリーテラー。
朝起きてすぐベッドの中で観て号泣した。
2018年、専門1年生になったばかりの春、あの圧倒的アンセムQueendomがリリースされた。
以前より視野を広げ前向きになった歌詞。より力強く、戦闘力を増したサウンド。高らかに歌うチャント。
居場所がなかった少女が女王となり新しい居場所をつくった。全ての生き物を祝福するとても希望に満ちた先行シングル。
ミュージックビデオでは気持ちいいほどに踊り狂う姿がある。殻を破り解放されたような、自由になったオーロラがそこにはいた。
「これがオーロラアクスネスの新章のはじまりだ!!」
と言わんばかりのラスト。最後に映る凛々しい表情と新しいロゴがそう訴えている気がした。
このQueendomのリリースにより、AURORAの音楽がこれからもずっとわたしの人生の一部になること確信した。
これがオーロラの沼にどっっっっっっっぷり浸かりそこで永住することになってしまった経緯。
各楽曲やアルバムについての感想も今度書こうと思う。長くなったので以上サヨナラ👋
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