Netflixオリジナルドラマ「THE DAYS」について語る
今週末はNetflixの「配達人」を観る予定にしていたのですが、なんとなく6月1日配信スタートの「THE DAYS」再生数に貢献しておいた方が良いのでは…程度の軽い気持ちで視聴し始めました。
土曜20時からep1を観はじめて、もう全然止まれなくて、仮眠を挟んで今朝、ep8まで完走しました。本当は今日、教授が音楽を担当した映画を観に行くつもりだったのだけど、別の作品をmixしない方がいいと思いました。
私は2011年3月11日のあのとき、何もしませんでした。関西にいたし、親類縁者もみんな西日本在住だったので、同じ日本に住んでいるのに、何もできず、ただTVとSNSをみているだけでした。
寄付はしたし、福島県のお米をずっと買い続けているけど、他には何もしていませんでした。大きな災害に遭ったこともない、無知な人間です。
そういう人間は、せめて、知ろうとしないと。わからないことだらけだし、何が本当なのかわからないからと理解することを放棄して忘れていく、それがいちばんの罪だと、「THE DAYS」を観て感じています。
増本プロデューサーのインタビュー記事は、隅から隅まで共感と発見の嵐で、この記事を読めて本当に良かったと思っているのですが、特に刺さったのが末尾の一文です。
それぞれの持ち場でやれることがあるのだから、私は私で、できることを目一杯やって生きていく。一方で、福島第一原発事故はまだ全然終わっていなくて、今も解決していない、頭を抱えたくなる問題がたくさんある。そこから目を逸らさず、きちんと解決に向けて動いてくれる人達を選んで支援する。
そういう“役に立てること”が自分にもあるのかもしれない。そんな希望を持てた言葉でした。
「THE DAYS」、今日時点で日本ランキングの3位ですね。長くTOP10入りしてほしいです。セカンドシーズン、サードシーズンは絶対に観たい。
ここからめちゃくちゃ粗雑な散文になりますが、感想を。(あまりネタバレしてないと思います)
主演の役所広司さんをはじめ、キャストの方々が本当に素晴らしいです。画面に映る全員が凄い。全員です!
そして中でも抜群に冴え渡っていたのがやっぱり役所さんでした。恐怖と不安が喉元まで迫り上がっている、けど胆力で押し殺しながら、所員を鼓舞し続けようと無理に笑う。でも時々、“剥き出しの感情”が漏れてしまう…そういう何重にも難しいだろう吉田所長という役を、見事に演じておられました。今まで観てきた役所広司さんの役の中で一番好きです。理想的なリーダー像でした。リーダーはどんな局面でも、なるべくヒステリーを起こさず、メンバーを大事にしないと。あの日あの時、現場にいらしたのが吉田所長だったから私達は救われたのだと、そんな風に思えるリーダーでした
脇を固める方々も本当に素晴らしくて、竹野内豊さんも光石研さんも小日向文世さんも音尾琢磨さんも小林薫さんも!1epではいやキャスト豪華すぎるでしょ!と思うだけだったけど、演技がもう、皆さん全力で、最上級のパワーを出しておられるのではと…凄まじいです。演技の圧!
セットとカメラワークと演出も素晴らしかった。特に4,5epあたりの、建屋内の暗闇で鳴り響く「キュイーン」という高音。ホラー映画よりもずっとずっと怖かった
一番印象に残っているのは、ep3、ホワイトボードに数値を記入しているスタッフの指が文字が読めないほど震えてしまっているシーンです。ドキュメンタリーを観ているんだろうかと錯覚するようなリアルさの演出…
竹野内豊さんが出演されているからか「シン・ゴジラ」のシーンをちょくちょく思い出すなと思っていたのですが、観終わる頃には「シン・ゴジラはこんなにも福島原発事故をオマージュしてたんだな…」と考えるに至りました
映画館で観たいのです。iPad miniの小さな画面ですら、あんなにも引き込まれて目が離せなかったのだから、スクリーンで観たら息ができないほど飲み込まれてしまうのではないかと思うのです。2〜3epずつ、毎週興行してくれる映画館が現れないかな。たくさんの人に観てもらえたらと思うのです
予算と時間という余裕があれば、日本のコンテンツ(映画/ドラマ)は世界で戦えるんだとはっきり示してくれたドラマだと思います。最近、韓国のサスペンスやホラードラマにハマっていて、レベルが高いなあ羨ましいなと思っていましたが、日本も負けてない。凄いです
実話に基づくドラマで、起きたことほぼ現実にあったことで、今も解決していなくて。困ったら解決してくれるヒーローは現れなくて、今、自分たち大人が目を逸らしていたらこの負の遺産は子供達世代に受け継がれていくことになる(そしてより一層酷いことになりかねない)わけで。
観ている最中は、本当に怖くて、かなしくて、つらくて、ストレスフルな状況を追体験しているかのようにプレッシャーに押し潰されそうになりながら(それでも“最悪のシナリオを避けることはできた…という結末は知っている”のですが)の視聴はかなりしんどくて。
津波の映像も相当に怖くて、観ることができない方もいらっしゃると思います。
でも、観ることができる人には、1人でも多くの人に観ていただきたいと思うのです。
大事なことに気付かせてくれるドラマでした。いや映画を超えたな。間違いなく、現時点で今年No.1の邦画です。
1人でも多くの方が、「THE DAYS」を観てくださいますように。
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