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推し映画について語る-20:「なぜ君は総理大臣になれないのか」

やっと、この作品について語ることができます。本当に嬉しい!ずっと、視聴できる日を心待ちにしていました。地元の映画館では上映が1ヶ月先になりそうだったので(掛かったら観に行きますよ!)、8月1日19時からのオンライン上映会が決まって本当に嬉しかったのです。

ドキュメンタリー映画が大好きです。2時間前後の尺に収まりきらない“生身の人間の”メッセージが溢れていて、観るたびに新たな発見や学びがあるからです。そしてこの作品は、近年観たドキュメンタリー映画の中でNo.1です。
何故なら、“私たち自身の働きかけで、続編が創られるかもしれない”、視聴者参加型のドキュメンタリー映画という、まったく新しいカタチの作品だからです。こんなに”我ごと”として捉えられる作品があるだろうか。

「なぜ君は総理大臣になれないのか」について

大島新監督が17年間もの間、香川1区の小川淳也議員の活動を追ったドキュメンタリー映画です。

公式サイトの「衆議院議員・小川淳也とは?」を読んで、見出しの「こんな政治家がいたのか…」に本当それ、と思いました。1971年香川県高松市出身。東大卒、総務省での勤務を経て2005年に初当選。

序盤の、32歳の小川さんの瞳の煌めきを観て、いつも私が接するしている学生団体所属の大学生たちとよく似た熱量を感じました。
未来を憂いて、自分たちのチカラで変革を成し遂げなければと使命感に燃える若者たち。どうか折れないで、まっすぐに信じた道を突き進んでほしい、その為に自分ができる手助けはなんでもしてやりたい、と思わせるその姿。

そんな、志高く、誠実で、熱い人が、国政に近いところに「本当に、居たんだ」と思ったのです。本当に嬉しかった。そして同時に、「この人、なんで野党にいるんだ?」と思ってしまいました。こんなに”国民から求められるべき人”が、政治の中枢を目指すための戦いに苦しみ、もがいている。
この国の「人的リソースが適切に配置できない構造」の絶望、虚しさを感じ、なんとかせんと!というエネルギーが湧いてくる。そんな映画です。

オンライン上映会で視聴して

序盤、小川議員について「自称・日本をよくしたいオタク」と紹介されて笑ってしまいました。小川議員の公式サイトの「プロフィール」を読むとぐっとくるものがあります。
総務省(旧:自治省)入省後、「この国を変えたい」と政治家に転身した小川議員。視聴前はもっとこう、政治の世界どっぷりの内容かと思っていたのです。けど、現実はその一歩手前でした。まず議員になるための選挙に勝たないといけない。勝って党内で出世できないと発言力が弱い。その党が力を持っていないと国を動かせない。なんて遠い道のり。

世襲でなく、地元で有力な身内もいない、あるのは自分の熱意と覚悟だけ。家族は「あの子は政治家に向いてないんじゃないか」「いらないなら(選挙で負けるなら)家族に返してほしい」と思いながらもめちゃくちゃ応援してくれる。
毎回の選挙のたびに走り回り、頭を下げ、声を枯らす日々。でもライバルが地元の有力者すぎて勝てない。なんて苦しい。悔しい。でも、諦めない。

鑑賞して、本当にいろんな思いが渦巻くし、語りたいことがあとからあとから溢れてきてしまうのですが、どうしても書きたいことがふたつあって。

ひとつめ。
小川議員の娘さんふたりが、選挙活動チームに加わっているんですが、20歳前後の若いお嬢さんが、「娘です」の襷をかけて、路上でチラシを配って頭を下げて。電話をかけて。
無視されることもたくさんあるだろう、傷つくこともたくさんあっただろうに。本当に凄いなと思ったのです。商店街で出会った年配の方の「“娘です。”ってのが、いいよな」という言葉に、うんうんと頷いてしまう。家族一丸で頑張ってる姿が、いいですよね。
公示日、後援会の方々の前で、慶應義塾大学の井出先生の演説の時に、娘さんが流した涙に、思いっきりもらい泣きしました。(あのスピーチ、本当に素晴らしい。)

ふたつめ。
午前1時過ぎまで、選挙事務所で開票速報を見守る後援会の方々の姿を見て、ああ、羨ましいなあと、心から思ったのです。
この作品、政治ドキュメンタリーというより、選挙ドキュメンタリー映画だなと思うのですが、政局大混乱時の選挙で、これでもか!という壁が立ちはだかり、大苦戦を強いられた2017年。いろいろなモヤモヤを抱えながら、小川議員を目いっぱい応援して、僅差で敗れた時の後援会の皆さんの涙に、グッときました。
こんなに信じられる議員さんが居て羨ましい。「託す」ってこういうことなんだな、と思ったのです。「この国をよくしてくれよ、あなたに託すよ」って。だから皆、時間と手間を割いて応援するし、モヤモヤしたらその気持ちをぶつけるし、25時まで事務所の椅子にじっと座ってテレビを見守るし、開票結果に一喜一憂して、負けたら泣くし。心から羨ましい。「推しの政治家」を、自分も見つけたいなと思いました。託せる人。この国の未来のために、一緒に頑張れる人。

政治に関心が無いわけじゃないけど諦めていた、そんな自分の心に着火してくれた。そういう意味で、この映画には、感謝してもしきれません。

スペシャルトークを視聴して

8月1日のオンライン上映会後、小川議員×大島監督×政治ジャーナリスト田崎さん×記者鮫島さんのスペシャルトークを視聴しました。面白かった…!

田崎さん、鮫島さんから「小川さん、なぜ野党にいるの?」とか「政治家として青すぎる」と言われる小川さん。でもふたりとも、「今のままでは総理大臣になれないだろう。でも彼がなれたら(そんな世の中になったら)ちょっと面白いな」と期待している感じがすごく伝わってきました。
権力の中枢を目指すぞ!というギラギラした野心、それは自分には薄いし、やりたくないこと(権力闘争かな)はやりたくない、と笑う小川さんに「そこでごまかさず、悩まなきゃ」と迫る田崎さんの姿に、もっと言って!と思ってしまったのです。

権力の中枢に行ってほしい。「持続可能な未来」を創るために、国民を導いてほしい。そのためには「清濁併せ吞む」ことも必要だ、でも小川議員はそれをしたくない。なら、周りの人が担ぎ上げればいいじゃない。それが鮫島さんの言う「メイクドラマ、大島マジック」なんだなと思って、胸が熱くなりました。

視聴後の今、思うこと

上映会で視聴するまでは、と封印していたいろんなメディアを読み漁っています。楽しい!やっとこのnoteを読むことができました。共感の嵐です。

わずか2館で上映スタートした映画が、公開後1カ月も経たぬ間に、わずか7館のみの公開館で動員1万人を突破ってすごいことですよね。「カメラを止めるな!」のように、「新聞記者」のように。いやそれ以上に。
この映画を観た人が、小川議員の熱さに触れて、現実を変えていくような大きなムーブメントを引き起こせないか。そんな奇跡を起こせないだろうか。そう思って、今このnoteを書いています。
スペシャルトークで、この後も小川議員を撮り続ける、と大島監督が仰って、本当に嬉しかった。続編「なぜ君は総理大臣になれたのか(仮)」が創られるとしたら、その主人公は、小川議員と、私たち国民だと思うのです。そんな日が現実になったら、夢みたいだ。

”やるじゃん、日本。諦めなくてよかった。” そんな風に言える日が、そう遠くない将来に来ますように。否、そんな未来を手繰り寄せられるよう、まずは自分ができることを、探し続けていきたいと思います。
そう思えたこの映画に出会えて、本当に良かったです!


追記:リンク集

なぜ自分がドキュメンタリー映画を愛しているのか、その理由がすこし掴めた対談記事。しかも「なぜ君」は、我ごと、かつリアルタイム進行なのが最強ポイントです。

小川さんがインタビュー後編で語る「総理大臣になったら実現させたい4点」。舵取りをお願いしたい気持ちでいっぱいになります。


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