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変わらないでいて欲しかった

元彼は、一つ上の隣の高校の先輩だった。地元は同じで、同じ野球部だったから何となく認知していて。

付き合い始めたのは、私が高校生になったばかりの春、彼は高校二年生の時。別れたのは、私が高校卒業前の春、彼は社会人一年目が終わった時。

彼はとにかく野球が好きな人で、練習は嫌いだけど、なんだかんだいつも一生懸命野球と付き合っていた。私がマネージャーをしていた高校の野球部は市内でも強豪で、彼のチームはいつもズタズタに負けていた。

大会の二回戦で当たって、私の目の前でめった打ちにされたこともあった。でも、「次頑張るから、いいところ見せるから。」って自主練に励んでいた。そんなまっすぐなところが好きだった。

そんな彼も引退して、高校を卒業し、春から働き始めた。私はまだ高校生だったけど、忙しく働いていたわけでもないし、今まで通りに付き合っていられる気がした。

でも、段々とずれに気づき始めてしまった。金銭感覚が合わなくなって、自分が合わせるのが大変になったりした。

一番受け入れられなかったのは、「マキのために働いてるから、それ以外俺には何もないから。」私はそんなの求めてなかった。自分のことに一生懸命な彼が好きだった。そのためなら私は後回しになってもよかったんだ。

社会人になったら他に楽しいことなんてないからっていつも彼は言ってたけど、そんなこと私は望んでなくて。私のこと第一優先にされても別に嬉しくなかった。

ああ、こうやってズレていくんだって知って、遠距離になることをきっかけに別れを切り出した。

今の彼も来年には社会人になる。

また同じことは繰り返したくない。

でも、心のどこかで終わりを想像してしまう。

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忘れられない恋物語

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