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四国歩き遍路日記 4日目 12番

2月24日

5時に起き、入念にストレッチする。
6時に飯を食って、6時半出発。
 
藤井寺の境内から焼山寺への道が始まる。


ゆっくり膝をいたわりながら登っていく。
俺が宿を一番初めに出たみたいだが、次々と同宿だった人に抜かれていく。
時折、遍路ころがしと呼ばれる急峻な坂があり非常にきつい。


いたるところにお地蔵さんがあるので、こういうときばかりは道中の安全を願って手を合わせていくという現金さ。


本当に登っても登ってもきりがなくうんざりしてくる。そして、下っていく部分もあり、せっかくの位置エネルギーが無駄になってしまうことにまたうんざりしてくる。

途中、そんな風に自分がひいひい言いながら歩いてる道をトレイルランナーたちが颯爽と通りすぎていき、なんとも凄い世界だと感じる。


同宿だった夫婦と抜きつ抜かれつしながら進み、14時前、ようやく12番焼山寺に到着。7時間もかかってしまった。
あの石垣が見えたときの喜びは言葉にできない。

 
納経所では歩いてきたかどうか聞かれた(数えてるらしい)。温かいところでゆっくり休んでいってくださいと言ってもらえたが、もう時間は押しまくっていた。少し焦りながら、焼山寺を下りて鍋岩地区に到着。


先の夫婦とここでも遭遇し、ここを下りていった先の神山温泉に泊まるとのこと。
俺は植村旅館なのでさらにもう一山、玉ヶ峠を越えなければならない。
自分も神山温泉にしなかったことを激しく後悔するが(温泉宿は高いのでやめていたのだ)、後の祭りなので、疲労困ぱいの体を引きずって玉ヶ峠に入っていく。

ご夫婦を見送って、心細かったときの一枚

 
こちらの道も遍路ころがしなみにきつく、疲労やら焦りやら怒りやらで頭がいっぱいになりながら登っていく。

しかも、途中でザックの腰ベルトの裁縫がほどけて外れてしまい、泣きっ面に蜂。もうなにもかも嫌になって、地面に倒れ込んでしまった。

仰向けになって西日がさす薄暗い森の空を眺めながら、もうこれ普通に遭難するだろとか考えていた。しかしヤケになっても誰も助けてくれないので、結局また進みだす。

そうこうしているうちに、ようやく峠を越えて舗装路の林道に合流し、今度は下っていく。


最初は傾斜がきつく、膝を傷めないよう後ろ向きで下りていき(はたから見れば非常に滑稽だ)、途中からゆるやかになってきたのであとはひたすら下りていく。


そのうち日は落ちてしまい、真っ暗になった林道を進んでいった(その間、植村旅館から2回ほど電話があって、車で迎えにいくと言われたが断った)。19時前、ようやく集落に到着。

「SIREN」みたいな雰囲気だとこの時思った


宿に着いて呼びかけると、昨日同宿だったTさん夫妻が出てきて「あー佐野さん、よく着いたねー良かったー」と、迎えられた。
そのうち宿の人も来て、ちょうどもう一度電話しようと思っていたとのことだった。
Tさんは70近いらしいが、宿に着いたのは16時台らしい。

危惧していたとおりの遅れっぷりだったが、なにはともあれ、なんとか乗り切ることができて本当に良かった。内容はどうあれやりきればいいのだ。

23時44分(25日) 泊:植村旅館(2食7000円)

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