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インクルーシブな社会の実現~誰一人取り残さない学びをつくるには?~開催レポート

先日、THE WORLD LOUNGE Co&Co KYOTOにて、イギリスのオンラインインターナショナルスクールの代表と、奈良県の「アート」と「ケア」の視点から、多彩なアートプロジェクトを実施している市民団体の方とのトークセッションを開催しました。

【企画背景】です。
2020年より新たな学習指導要領による授業が順次始まります。ここで主眼としている「主体的・対話的で深い学び」を実現するために、障がいのある子ども、学校に馴染めないなど様々な困難を抱える子どもたちが協働で学べる環境をどうすれば実現できるのか。

また、持続可能な開発目標(SDGs)の理念は「誰一人として取り残さない社会」を実現すること。そのために、企業やNPOなどが協働して、各家庭や一人ひとりに合わせた学習環境をどう整備できるのか。

通信教育によるインクルーシブ教育を実現しているイギリスの教育現場と、困難を抱えている(広義の障がい)人たち一人ひとりに合わせた多様な学び、福祉と社会の新しい協働を実現している福祉現場の取り組みを通して、皆さんとともに考えていきたいと思います。

お二人には、それぞれ下記の視点からお話をいただきました。
 ①インクルーシブの定義
 ②インクルーシブ社会に向けた課題
 ③その課題に対するアプローチや展望

Nisai グループ CEO Dhruv Patel (ドゥルーヴ・パテル)さん
イギリスで、特別支援やメンタル面に課題を抱えている子ども達向けに事業を行っている。テクノロジーを通じて、家からでも通えるようなオンラインによる取り組みをしている。少しずつ安心して前向きにコミュニケーションできように声とチャットのみで行っている。教員側も変な先入観なくフェアに対応することができる。また、オフラインで集まれる場もある。

Nisai グループが大切にしているのは、従来の詰め込み教育を提供するのではなく、個々の熱意に火をつけること。教育は詰め込むのではなく、その子はどのような切り口で物事を見ているのか、どこに情熱をもっているのかを見ること。

下記の困難を抱えている子ども達を対象にインクルーシブ教育に取り組んでいる。
 ・いじめ、メンタル面の課題
 ・病気、ADHD等
 ・身体的障害
 ・孤立した地域(孤島、紛争孤立、山岳地帯等)
 ・従来の学校教育方針、システムに合わない

学校の先生が、学校のシステムの中でどこまで発見し、対応しなければならないかが課題となっている。違うことをする、違う考えをすることになかなか対応ができないという学校の現状がある。また、ニーズがあるにも関わらず、そこまで対応ができないという学校インフラにおける課題がある。

一般財団法人たんぽぽの家 小林 大祐(こばやし だいすけ)さん
奈良県で、重度の身体障害のある親の集まりから始まった団体。芸術文化活動を通じて、障害のある人の学び、社会参加、しごとづくりを支援している。表現というのを大事にしているのは、その人らしさを発見しようと思ったときに、既存の学習の場や職場だと気づきにくいことが、表現するとよくわかってくるという点である。困難を抱える子ども達にとって、学ぶ選択肢が少ない、表現する機会が少ない、同情による社会とのつながりが大きいという3点にアプローチする事業活動に取り組んでいる(例、コミュニティカレッジ、エイブルアート、福祉×異分野の共感によるつながりなど)。

当事者自身(障がいとともに生きる人たち)が、自分たちで学ぶ場をつくること。学校以外の学校を地域の人たちと一緒につくろう。表現のする機会を障がい者がするアートということよりも、エイブルアート(自らを自由に表現する場やしくみをつくり、より多くの選択肢の中から豊かな生き方を発見することをサポートする。)ことであるということ。

インクルーシブ社会とは、
たとえ何をしていなくても心地良くいれて、
何かしらの方法で表現することができる居場所が
あり、学ぶ機会と働く機会があり、
誰かとつながり、対等な関係をつくり、分かちあうことができる社会。

どうしても何か大きな括りやラベリングされた位置づけ(例、障がい者は弱者)で捉えてしまうことを、一個人としての対等な関係を築いていけるようにするという点が課題。

後半は、パネラーと参加者との意見交換を行いました。

イベント当日は、オンライン配信も行いました。そのときの録画動画もありますので、ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。


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