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一度心の折れた山に、もう一度登山するニート。

前回

私は翌日親友に連絡した、あの山は私一人では登る事ができないと判断し、行動派で元登山部の力を借りようと思ったのだ、そして親友から、近いうちに行くと返事をもらった。

その日はやって来た、15時に例の公園にたどり着いた私たちは、前回と同様の様に登り始めた、行動派の親友、彼に出来て私に出来ないことは確かに存在している、しかし彼が不得手で私が得意な事も存在する、それは事前準備だ、私はこの日のために論文も見直した、なんの役に立つのか分からなかった唯一のこの鉱山に関する動画も役に立つだろうと見てきた、ライトや手袋、非常食を用意したのだった。

前回とは違い手袋を嵌めた私は、基本四足歩行で山を進んだ、思った通りバランスが保ちやすくなり、転ぶ回数が半分に減った、まぁ親友は殆ど転ばずに二足歩行で登っていたのだが、ただそれはそれ、悔しさもあるが逆に言えば、四足歩行になるだけで、登山部に着いていけるのだ、手加減があったのかも知れないが構わない。

やがて前回最後に辿り着いた場所へやってきた、目的地まで半分といった所だ、私がこの地点で心が折れた理由がもう一つあった、それはそこからのルートが直線を辿ると、棘のある雑草が自分の身長程もある草むらを、突っ切らなければならない、だが、その草むらを迂回する道は、坂が今までと比較して、さらに急な上に木が減り登る難易度が上がる、どちらも危険と判断したからだった。

そしてその判断は正しかった、経験者の親友ですら数分悩んだ末に草むらの道は断念した、そして選択肢は、迂回する道へ向かう事となったが、コレがとにかく大変だった。

粘土質の土はグリップ力が下がり踏ん張りが効かなくなる、木が少なくなり手や足を掛けれる物も殆どない、正直坂の角度も相まって、私にはヌルヌルの壁を歩けと、言われているような物だった、親友は自分だけひょいひょいと進んでいき、私はその後ろをついて行ってたが自分の限界を感じた私は、後ろをついて行くのをやめた。

自分にはこんな壁を足の踏ん張りだけで登るのは不可能だ、だが木に足をかけて登る事は出来る、頭をフルで回して数少ない木や、太い根を探し、しがみつき登る、そして次のルートを考えるというのを繰り返す、先に行く親友を待たせる事もあったが気する余裕すらない、とにかく必死だった。

暫くそうやって進んだ先に最後の障害があった、大小の岩に土が被せられて出来た壁、高さは3メートルほどだろう、何が難しかったのかというと、足場の不安定さだ、一度親友が先に足をかけて登ろうとしたのだが、足場にした場所から、50cm程の岩が崩れ、親友と共に転げ落ちた。

幸い親友に怪我は無かった、だが肝が冷えたとも言っていた、残念な事に迂回する道は見える範囲で無い、私はいつ、どこが崩れるか分からない石に、足をかけて体重を乗せ、登らなければならないのだ、もし後ろにバランスを崩したのなら、よくて大怪我、悪けりゃ死ぬ、そう思った。

ちなみに、この地点の事を後程親友聞いたら、スリルがあって大変楽しかったと答えた、彼はもしかしたら、単に行動派なのではなく変態なのかも知れない。

私の文章力では、簡単に思えるかも知れないが、実際求められているのは、絶対に後ろにバランスを崩さず、いつ崩れるか分からない数センチの石の出っ張りに、体重を乗せて、3メートルの壁を登るという、普通に無茶な事だ。

親友が時間をかけて先に行き、俺の番が来た、そしてまず、一歩足をかけて体重を乗せた、当然のように足場の石が崩れた
一歩目という事もあり、落ちる事はなかったが、落ちてきた石が普通に脛を強打して私のやる気は一気に下がった。

そこからはもうよく覚えていない、やる気も下がったが同時に腹立たしくも感じた、怒りだけを糧に全身泥だらけになりながら登った先に、それはあった

荘厳だった、藪を抜けた先に佇む大穴、見つけたことで上がったテンションは中に入ると、その静けさと共に落ち着いた、後方から草木が揺れる音だけが聞こえて、前方は無音、全ての気配を一切無くした空間、私に未知の感動を起こした。

一通り感動し切った後、鉱石を探し始めた、その場所はやはり他と違って、山のようにある石英(濁った水晶)、鉄鉱石と柘榴石、そして綺麗な緑のマラカイト、静かな洞穴で私達は夢中で石を探した。

気がつけば2時間経っていた、見つかった石は色々あったが、私はマラカイトと石英を気に入り、良さそうな物をピックアップして持ち帰った。

帰り道、やはり転げ落ちるように下ったが、そんな最中でも、あの洞穴が頭から離れなかった、石を探している時、鉱山がまだ使用されていた頃に落ちたと思われる落とし物が、見つかる事があった、古びた革製のホルスター、赤チン、古そうな瓶、時が止まったあの空間への想いを反芻する。

真っ暗になった頃、泥だらけとはいえ無傷で下山し、私のリベンジは無事達成された。

今こうやって振り返ると、またあの空間に行きたいとも思うし、もう私には必要ない気もする、いくら考えても決められないから、きっとそれが答えなのだろう。

共に行ってくれた親友にbig respect。

あんな山の中を掘り進めた過去の人間全てにbig respect。

不思議な体験をさせてくれたあの山に
big respect。

全てを生み出した地球にbig respect。


もう書くの飽きちゃったんで終わりにする、読んでくれてありがとう、続きもの書くの苦手なのが分かったからおーるおーけー、マジで今日モチベが上がらなかった、あー頑張った。

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