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大阪都構想問題で分かる「住民自治の重要さ」

大阪都構想の是否を問う住民投票が、再び反対多数となり、住民投票上は都構想が実現しない結果となりました。

投票率が100%ではないため一概には言えませんが、都構想に対する賛否は「ほぼ同数」と見ても良さそうです。

大阪府と大阪市が本当にあるべきゴールと、住民参加の関係。私は埼玉県民ですが、外から見て思うところをまとめてみます。

①住民投票は、実質的に唯一の「住民参加」

「いやいや、選挙がありますよ」と思う方もいるかもしれません。だとしたら逆に問わないとならないのは、「選挙は何をもって投票しているのか?」と。

多くの有権者は、個の政策ビジョン(マニフェスト)などロクに見ずに、支持政党であるとか、場合によっては選挙投票の段階で阿弥陀くじするようなヒトもいるのでしょう。もちろん、選挙に行かないヒトもいる。(むしろ沢山…)

本来、住民の代表である国や自治体の議員を選挙で投票するのは国民であるわけで、今日の政策がどうなれど…私達はそこに間接的には加担し続けている。それを決める選挙の考えが先に書いたとおりということは…??となりますね。。

一方、住民投票は間接的でなく、直接判断する場になります。住民投票自体が行われるケースが限られるため、一生に一度あるかないか…という場合もある中、大阪市の方はわずか5年で2度も住民投票をすることができた点では極めて貴重なことと言えるのです。

ところが、特に反対派の方からの声で「5年で2度も住民投票すること自体、異常だ」というような、的外れも甚だしいものがありました。議員が鼻高々になっている象徴で、どこか勘違いされてるとしか思えません。

一方、2度にわたり同じ結果となったことを受けて3度はやらないであろうとした府知事の判断は、賢明であったと言えます。それは後述に関連しますが、そもそも目指すべきターゲットは都構想にすることではなく、「二重行政へのテコ入れ」だからです。


②二重行政を解消する手段

二重行政を解消する手段は、実際のところ1つではありません。これを書く寸前に「2月議会に府市一体化に向けた条例を…」という意向のニュースを読み、それも1つの手段であると思いました。

なぜ都構想にこだわってきたか、細部までは私も知らない部分がありますが、「都構想にしてしまうことが、半ば立て板に水のような流れで二重行政を改められるから」であったと思います。

自治体の制度としては、政令市制度の前に「特別市」という、それこそ都道府県と完全に同じ権限の仕組みがあったそうです。しかし、これは結局事例無きままなくなり、今の政令市の枠組が存在している経緯があります。

政令市は、プチ都道府県みたいなものであるため、市が都道府県を凌駕するようなものを条例で整備すればするほど、大阪のような二重行政化が進みます。

これと関係するのが、国→都道府県、都道府県→市町村への権限委譲です。権限委譲は上位にある方がコントロールするので、大阪のような二重行政問題が他の政令市で聞かれないのは、権限委譲のコントロールが行き届いているためです。

もちろん、稀に市町村単位でユニークな条例があれば、というケースもありえますが、政令市でない市町村は基本的に都道府県の条例を無視した作りにしないで条例化することが多く、そのような条例は単に上乗せした感覚で終わります。


③大阪の二重行政のゆくえ

ここからは私の予想になりますが。。

まず、二重行政を改めるのに、今回「府市一体化」を選ぼうとしています。このような場合、条例成立後に府と市でタスクフォース的な枠組みを作り、その中で必要性の高い順に変えようとする手法でしょう。

一般に条例改正が伴う場合にはパブリックコメントを通すのが、行政としての基本的流れであるため、条例改正から施行へ踏み切るにはまだ長い時間が必要となるはずです。

そうなれば、いくつかの問題の中から少しずつでも変えるべきものは変える。都構想実現に比べると、スピード感が鈍くなる感は否めないものの、本来進めたいことに歩み出すことは可能になると思われます。

最も、仮に都構想が実現したとしても、本格施行は2025年と言われてきました。都構想の場合は市と区のスクラップandビルドであったため、否応なしに作りあげないとならないことから、どこまで進行するかの差はあるかもしれません。。。

これからどのような進み方になるか見守る立場ですが、住民投票があった際は我が身と思いたいです。今できることは、その1点なので。

ちなみに、行政側から出す条例改正等の際のパブリックコメントは、いわばパフォーマンスに等しいもので、この場になると是否があったところで行政コントロール下に置かれます。そういう意味でも、住民投票の機会があった時はよく考えた方がいいですね。



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