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ワッフル論争

ベルギーといえばワッフル。日本でも専門店が出るほど人気のスイーツですが、このワッフル、ベルギーではリエージュワッフルとブリュッセルワッフルの2種類があって、お好み焼きともんじゃ、関西と関東のうどんつゆを想起させる論争の的となる話題です。

リエージュワッフル~さくさくもちもち

その名の通り、ベルギーワロン地方にある、リエージュ(Liège)発祥のワッフル。中世の時代、リエージュ領主が当時新しく入ってきたパールシュガーを使った焼き菓子を作らせたことが始まりとされています。生地が甘いのでトッピングをする必要はなく、プレーン、シナモン風味、チョコレート味(焼いた生地に入れたり表面にかけたりします)などの種類が楽しめます。リエージュワッフルは、がっしりとしているので手で持って食べます。パン生地のような固形の生地を、鉄製のワッフル焼き器で焼きます。リエージュ当局によると、「本物」のリエージュワッフルは、24個のくぼみがある円形の型で焼いたもので、ライバル視している四角いブリュッセルワッフルとの違いを明確に定義しています。基準は明記されていないのですが、「本物」認定も行っているとのことです。

リエージュワッフル生地。"The Authentic Liege Waffle" より引用。

食感は、表面はさくさく、中はもちもちで、しっかした甘みがあり、プレーンでもかなり食べ応えがあります。

リエージュワッフル。"The Authentic Liege Waffle" より引用。

ブリュッセルワッフル~さくさくふわふわ

対してブリュッセルワッフルは、生地自体にあまり味はついておらず、トッピングで楽しみます。生クリーム、はちみつ、キャラメル、フルーツ、チョコレートなどスイーツ系のトッピングをはじめ、お店によってはハムやチーズ、ベーコンなど塩気のあるトッピングを選べるところもあります。パンケーキ生地のような液状の生地を、四角い型に流し込んで焼きます。お皿に載せたワッフルを、ナイフとフォークを使っていただくのが一般的です。

食感は、表面はさくさく、中はふんわりで、とても軽い食べ応えです。トッピング次第でいくらでも重くなりますが。

ブリュッセルワッフル。"Brussels Waffles"より引用。

進化形~バブルワッフル

香港発祥とされるバブルワッフルですが、ベルギーに逆輸入されています。ブリュッセルワッフルの生地ををバブル型の型に流し込んで焼き、円錐状に巻いて食べます。好みのトッピングを手巻き寿司のように中に入れて巻くことで、手に持って食べられるブリュッセルワッフルの完成です。

ブルージュのBrug Squareにでていたワッフルキッチンカー。バブルワッフルが目玉商品とのことで、行列ができていました。
手巻き寿司のようにして食べます。

おわりに

ベルギーの人のあいだでも好みが分かれるワッフルですが、今回このワッフル論争を調べていて、日本のご当地論争を思い起こしました。リエージュはブリュッセルワッフルをライバル視し、リエージュワッフルをブランディングして街の知名度を上げようとしている印象を持ちました。対してブリュッセル側は、ブリュッセルワッフルかその他ワッフル、という表現で強気姿勢がうかがえます。日本人の私にとっては美味しければ何でもよく、最終的には好みの問題だと感じています。ちなみに、私がベルギーで食べて一番美味しかったワッフルは、リエージュの Sandwicherie Pollux というお店のシナモン風味リエージュワッフル(Gaufre Cannel)です。焼きたてのリエージュワッフル、さくさくもちもちでかなり美味しかったです。

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