見出し画像

アールヌーボー建築

最近、アールヌーボー建築にはまってます。アールヌーボーとは思想であると言われるほど、その様式・形態は様々。以下、アールヌーボー建築についての個人的な意見と感想です。

アールヌーボーって何?

アールヌーボー(Art Nouveau)「新しい芸術」は19世紀末から20世紀初めにヨーロッパを中心に広まった芸術運動で、産業革命による工業化・大量生産への反発に端を発した、生活の美化を目的とした運動です。草花、昆虫などをモチーフにした自由曲線の組み合わせによる装飾性や、鉄やガラスといった当時の新素材の利用が特徴で、当時の家具や食器、建築、グラフィックデザインなど多岐にわたる作品に影響を与えました。

ブリュッセルのアールヌーボー建築

ブリュッセルにはアールヌーボー様式の建物が多くあります。中でも、アールヌーボー建築の父と呼ばれるヴィクトル・オルタが手がけた個人邸宅は、ユネスコ世界遺産に登録されています。その他、ポール・アンカール、グスタヴ・ストローヴァン、ポール・コーシーなど著名な建築家による建物が街中で見受けられます。これらの建物を見学した印象は、曲線美、採光、一点もの、です。

オルタ邸。

曲線美

鉄を使うことで建築物に自由な曲線を採り入れることが可能となり、曲線美による高い装飾性がアールヌーボー建築の特徴となっています。

サン・シール邸

採光

当時の伝統的な様式で建てられたアパート(邸宅)は、建物の端にドアがあり、そこからまっすぐのびる廊下に沿って部屋が複数ある造りで、自然光が全く入らない部屋が存在します。アールヌーボー建築では、ドアを建物の真ん中に備え付けて踊り場から階段へ続く動線をつくり、ガラス張りの天井から自然光を採り入れることで、建物のすべての空間に自然光が入るよう工夫されています。

グスタヴ・ストローヴァン邸宅の天窓

一点もの

建物の外装、内装、家具調度品も職人による一点ものです。先述したヴィクトル・オルタの邸宅には、彼がデザインした家具も展示されています。

日本の影響~ジャポニズム

アールヌーボーは、当時ヨーロッパで流行していたジャポニズムの要素を採り入れており、ステンドグラスにデザインされた平面的な風景や、内装に施された朱色のデザインなどにその影響が見受けられます。とはいえ、ヨーロッパの人々が採り入れた「日本趣味」なので、日本人の私には、これのどこが日本風なのだろうと首をかしげる内容が多いです。

終わりに

第一次世界大戦を境に、手間暇とお金のかかるアールヌーボーは急速に廃れていき、装飾を否定する低コストなモダンデザイン、アールデコへの移行が起きます。アールヌーボーの流行は1890年から1910年のわずか20年で終わりましたが、当時の繁栄を映す華やかな建築様式にはとても惹かれます。

アールヌーボー建築は、そのほとんどが個人の所有となっており、博物館として公開されているオルタ邸など数少ない例外を除いては、内見することができません。毎年春に開催される BANAD (Brussel Art Nouveau & Art Decor) Festival では、期間限定で市内のたくさんのアールヌーボー建築が一般公開されます。事前申し込みなど必要ですが、興味のある方は是非。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?