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他人と縁を結ぶということ―実親と里親とのかかわり

2024/1/24(水):特別養子縁組37
 今日も覗いて下さってありがとうございます。
 今日水曜日は特別養子縁組について考えていきたいと思います。
 


 

はじめに


 今日取り上げるのは「里親と実親とのかかわり」について。
 社会の移り変わりとともに変わってきている実親の事情や背景の変化に伴って、子どもの生活環境や心理・里親に求められる配慮も大きく変化しているといえます。
 里親や養子縁組を希望するのであれば、この点を理解し配慮を考えておくことが大切なのではないかと思う。

実親と里親とのトライアングル

 前週までに書いてきたように、日本という国が考える、子どもの育つべき環境の優先度として「実親>血縁関係のある親族>養親」という順序を明らかにしています。
 そして同時に、実親の家庭が経済的に養育が困難なとき、期間を限定した形で子どもは里親の元で生活をしながら実親とのかかわりの時間をもつ…という形式がとられることがあります。 
 これはあくまでも実親の元へ戻ることが目的であり、里親・実親両者の理解と協力が不可欠となり、この子どもをめぐって「実親」「里親」が協力することを「フォスター・ケア・トライアングル」といいます。つまり、養親も「この子がいつか実親の元に帰ることができるように…」という思いで、見守り援助をしていくことが必要となります。

実親・里親交流の配慮点

 では、「里親をしながら里子を実親の元へ送り出す」「里親という立場で実親とかかわりを持つ」ということについて配慮すべきことを考えていく。
〇自分たちの葛藤や寂しさではなく子どもの気持ちに寄り添う
 →里親としての寂しさややるせなさ、どうしようもない葛藤が生じることもあるでしょう。しかし、子どもの葛藤や寂しさなどはそれ以上に計り知れないもの。例えば、葛藤ゆえの試し行動などがあったとしても大きな心で受け止めること、夫婦で話し合い対応を考え続けることが大切ではないかと思います。きっと里親との関係が良ければ良いだけ、子どもの葛藤も大きくなるものだと思うから…専門的な知識や対応も身に付け、専門家のアドバイスも受けながら子どもに寄り添っていきましょう。

〇実親の理解に努める
→里親になろうという人と、実の親なのに子を手放す決断をしようとしている人…きっと真の理解はし合えないのかもしれない。人生の優先順位も違うだろう。しかし、子どもの心に寄り添い、理解するのと同時に実親への理解にも努めることが大切だとされる。これら理解が対立を回避することにつながるのである。

〇実親と張り合わない、あくまで支える気持ちで
→子どもを可愛く思えば思うほどに、その子に寂しい思いをさせている実親に対して苦い気持ちが募ってしまうものなのかも知れません。「なんでこんなことを…」などと考えてしまうかもしれません。また、その実親を求める里子の姿がより寂しく映ってしまうこともあるでしょう。
 ここで生まれてしまうのが「実親批判」や「実親との対立」であると言えます。里親が感情のままにこのような意見を子どもに見せてしまうと、子どもは心のやり場を失い、弱音を吐き出せなくなってしまいます。里親をする時には、「子どもが実親の元へ戻れるための黒子になる」という覚悟を持つことが必要なのではないだろうか。

〇生活面での子どものフォロー
→子どもが里親と実親の元を行き来するということは、全く違う生活の場に身を置くということである。この違いを理解し、生活面をフォローすることで、子どもの生活が安定した物になるよう援助することが求められる。

おわりに

 里親研修を受けていた時、一番「自身がないな…」と感じたこと、また夫婦で一番話し合いをしたことが今回の題材でした。
 子どもの実親を私たちは友好的に見られるのだろうか…つい批判的な気持ちをもってしまうのではないだろうか…正直、今私が里親登録するとしても自身がありません。
 研修を受けてまで里親になろうとする人にとってはとても大きな課題であり難しい事柄なのではないでしょうか?
 社会で守る子ども…それを理解し、里親自身も上手に自分の気持ちと向き合っていくことが大切なのかな?と思います。

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