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他人と縁を結ぶということ―相手を想像する

2024/2/14(水):特別養子縁組
 今日も覗いて下さってありがとうございます。
 今日、水曜日は特別養子縁組について考えていく日。一緒に、少し考えてもらえると嬉しいです。

 今日は前回投稿した「実親と里親のかかわり・協力」について、私達夫婦が研修会で聞いた意見や反応について回顧し、少し考えたことを書かせて頂こうと思います。

 里親研修(里親になることを希望する者が受けるべき研修。この研修を修了しないと、里親登録されない)の座学研修には、ワークショップ的な時間が織り込まれており、里親や児童養護施設の映像を観て考えを話し合ったり、「もしも里子から○○と言われたら…」というような里親になってからを想定しての問答をしたり…という時間が設けられていました。

 ある時、このワークショップで
「里子から、実親はどんな人か聞かれたら、会いたいと言われたらどうする?」ということをテーマに話し合いをすることになりました。ファシリテーターの方の案内では、「実親を否定したりすることのないように」と助言があってからのスタート。
 私達夫婦と同じグループになったのは、それまでに話をしたことのあった「特別養子縁組」希望の不妊治療経験者のご夫婦と、60代かな?と思われる女性一人。
 きっと里親希望なのかな?と思しき方でした。

 この60代の女性…開口一番
「実親のことなんか、良く言えるわけないやんねぇ?」
と…それ以外の思いがあるわけがないと信じ切った様子でした。
 私達を含む2組の夫婦はあっけにとられてしまいました。
 そして、私は思わず反射的に
「そうですか?」
と暗に意を唱えた形の反応をしてしまったのですが、
「実親に感謝なんかどうやってするのよ?」
と私の反論にとれる反応や他の人たちの反応に、虚を突かれたかのように笑いながら
「子どもを捨てたのに?」
と切り捨てるように返事がされました。
 ここまで何度も研修を重ねて来たのに、信じられない思いでした。

 私は、こういうとき上手にスルーできないタイプ…
「気持ちとしては分かるけど…例えば虐待してしまった実親が、自分では子どもを育てられないと判断して児相に預ける、里親に託すことを決断してくれたんじゃないですか?そのお陰で子どもの命が救われたと思うと実親の決断には感謝して、実親の気持ちに寄り添うこともできませんか?」
的なことを話しました。
 一緒だったご夫婦も
「子どもに最善の家庭環境じゃなかったかも知れないけど、その子どもの守り方を選んでくれた気持ちを考えないと…」
と理解を示してくれ、互いに
「やりきれないし、思うところはあるし…本音は素直に感謝を思えないのも正直な気持ちだよね」
…等と話をしました。
(この女性、「捨てられた子を引き受ける以上、面倒を見る代わりに里子にはこっちの要望も聞いてもらわんと!介護とか、お互いさまやんか!」
等と、持論を展開されていたので、何か「里子に思惑があって里親希望をされている」方なんだと思います。)

 当事者ではない大人、特に血のつながりのない子どもを引き受けようとする里親希望者にとって、血を分けた我が子を傷つけてしまう、手放してしまう実親への理解…というのは、正直難しい側面があるのも事実だと思います。しかし、きっと我が子との別れまでには、実親さんなりの計り知れない事情や悩んだ時間があったことを想像し、思いに寄り添いたいものだと思います。

 正直、実親さんへの配慮についてや実親さんへ向けた言葉として、研修を開いている側の担当の方が「腫れ物」扱いしすぎている…と感じ、違和感を持ったこともあります。
 本音を言えば、「ただただ守るべき相手」ではなく「守り厳しくも伝えていかなければいけない相手」であることが必要ではないかと私は考えています。しっかりと温かく、どこかしっかりクールに対応し指導援助すべきなのではないでしょうか。

 里子を受け入れることになったら、「かわいい我が里子・養子の大切に思いたい人」「かわいい我が里子・養子を生んでくれた人」という敬意を忘れないことが大切なのではないでしょうか。
 敬意をもった人との付き合い…これは大人であれば当然のこと。
 
 改めて大切なことを考えさせてもらい、逆にこんな60代女性のような発想の人が里親登録され、子どもとかかわることがありませんように…
 この方の考えが変わりますように…
 そんな風に考えてしまいながら、夫婦で話をしたきっかけになりました。
 
 この出来事と彼女の言葉を伝えることで何になるものではないかも知れないけれど、少し考えてみてもらえたらいいな…と思ってここに書いてみました。
 皆さんはどんな風に受け取られましたか?

最後まで読んでくださってありがとうございます。
ではでは、また明日!

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