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『街の上で』

週末の朝一番に見てきた。
久しぶりに、ちゃんと感想を書いておこうかなと思ったのだけど、かなりあっさりになりそう。

今泉力也監督の作品は、これまで『愛がなんだ』『mellow』『his』の三つしか見たことがなかった。『アイネクライネナハトムジーク』も『あの頃。』も見れていない…
なので、そんな私が今泉監督の作品について話すのは気が引けるのだけど、でも思っていることは事実なので簡単に感想を書きたい。

単純に、「今泉監督ってかなりおもしろい人なんだろうな」と思った。

なんとなく、多くの女性の心を捉えて一世を風靡したともいえる監督の作品『愛がなんだ』は、どこか恋愛に対して水っぽいような気がしていた。
水っぽいという表現は適切ではないかもしれないけれど、なんというんだろう。

この恋愛観に対して、私は決して共感できなかった。作品で描かれるテルコのことがいまいち分からなかった。だけど、見た人の心をかなりつかんでいたという評価を見て、いわゆる理想が織り交ざったピュアな恋愛ではなく、あくまでも「こういう人たちってよくいるよね」という身の回りのシーンから切り取られた恋愛で、だからこそ共感する人が多かったんだろう。
さらさらした水、というよりは、少し濁っていてでも流れ続ける水、というか。
単純に自分の恋愛経験が浅いからなんだけど、多くの人が経験しているであろう「元カレとの都合のいい関係」とか「ただのセフレ」とか、そういう日常的にいるシーンを切り取っている恋愛。
そういう恋愛を、なぜか私は”水っぽい恋愛”と表現したのです。決して、貶めているわけではありません!

…なんか何が言いたいのか分からなくなってきたな。

とりあえず、上述したように自分は今泉監督の作品を三本見ていて、なおかつ順位をつけるとしたら『his』『mellow』『愛がなんだ』で。
でもなぜか監督を想像したときに思い浮かぶビジュアルは『愛がなんだ』で。それゆえに監督は、水っぽい恋愛を、私たちの身の回りにある日常から切り取って映画にしているんだろうな、という印象があった。

だから、今回『街の上で』を見て、印象が変わった。
今回も『愛がなんだ』みたいに、ただ日常を切り取った恋愛模様を描くのかなあと思っていたので、まさかこんなに笑ってしまうとは思わなかった。
もちろん、基本的には日常を切り取っていて、何気ない会話ややりとりも映し出していたので、そのあたりは今泉監督だ~と思ったのだけど。
でも、今泉監督ってこんなにユーモアたっぷりだったんだ?
と思ってしまったのです。

その人とその人が繋がっちゃう!? とか、そんな遭遇することなんてある!? とか、日常ではなかなか起こりえないことを、「こんなこともあるよね」という風にストーリー上組み込んでいたので、斜め上をいく感じに笑わされました。
「今泉監督は日常に特化していて、都合の良すぎる出来事とか、ちょっと無理があるんじゃない!? ということは描かない人」だと思い込んでいたので、今回この映画を見てかなり印象が変わった。

だけど思い返せば、『mellow』で描かれていた夫婦のやり取りもかなりユーモアあふれていたし、しかもくどいくらいに長かったし、だけどやっぱりそのシーンはかなり面白くて笑っていた。
そうかー、自分は偏見と少ない知識で今泉監督のことを判断していたのだなー、と気づかされました。

もしかしたら、『あの頃。』はこのユーモアさがバンバン出ている作品なのかもしれないね? そう思うと、どうにかして見たい気になってくるわけです。

ひとまず、今泉監督へのイメージが変わったという点で、印象的な映画となったことを記しておく。


そしてそして、やはりキャストが素敵でしたね。
ほしもえ、かわええ。あの視線が好きですね。あと「気安く名前で呼んでんじゃねえ」みたいに凄んでいたとき、ほしもえは迫力のある子なんだなあ、と思った。イハ役の子も、見たことあるようなないような薄っすらとした記憶だったけど、かわいかった。
萩原みのりの、悪びれもなく青に接してる感じ、全くウザくなかったのすごい。
若葉さんは、見るたびにカッコよく見えてきます。『コールドケース』で見たとき、優しそうな表情と狂気じみた表情のギャップがすごくて忘れられなかったんだけど、『くれなずめ』ではさらに違う役柄っぽいもんね。
これまでの作品も全く終えていないので、いろいろな若葉さんを見に、サブスクめぐりをしたいと思います。


総じてよかったです! おもしろかった!