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『刑事コロンボ』鑑賞記録 第43話「秒読みの殺人」(ネタバレ)

最近、『刑事コロンボ』(吹替え版)を見直しているので、作品を見てどんなことを思ったか記録しておこうと思います。
今回は「秒読みの殺人」です。

※以下、作品の結末や物語の核心について触れた記述があります。ご注意ください。



『刑事コロンボ』の「秒読みの殺人」というエピソードを見た。吹替え版である。

テレビ局のプロデューサーは、密かに恋人関係にあった同僚に別れを切り出される。プロデューサーは、会社内でアリバイ工作を行ったうえで同僚を射殺。コロンボが調査に乗り出す。

映写機を使ったトリックということで、過去の「意識の下の映像」や「忘れられたスター」を思い出す作品。
そして、女性が犯人役で、殺人をきっかけに男性社会でのし上がろうとするが、失敗するというストーリーからは、シリーズのうち「もう一つの鍵」が想起される。

本作は、女性の犯人が、実力が伴っていなくて結局出世できなかった・・・という話だが、後味が悪くてあまり好みではなかった。
明らかに、犯人は恋人にひどい扱いを受けたわけで(犯人も恋人を利用して出世しようとした疑いもなくはないが)、それに加えて、殺人以外で犯人が破滅するストーリーを描くのがトゥーマッチに思えた。さらに言うと、犯人は現場の人間からは信頼されているようだし、のんびり仕事しているように見える上司らに比べて、よっぽど頑張っている印象を受けた。犯人は正当に評価されていないと思う。犯人の理不尽な待遇を描いて、テレビ局の上役たちのホモソーシャルな関係性を批判する狙いがあるのか、と見れないこともないが、そうだとすると、ひねりが効きすぎてメッセージが汲み取りづらい。

また、証拠となる拳銃を使った罠は、少しキレに欠ける印象。
エレベーターの上の拳銃がなかなかとれなくて、悪戦苦闘する場面はスリリングだったが。
やっと拳銃を回収できて、エレベーターの扉を開けたら、そこにコロンボが待ち構えていた・・・。というシーンを考えたが、どうだろう?こちらの方が、タイトにまとまるし、コロンボの得体のしれない神出鬼没感が深まると思う。

大変良かった点は、コロンボに完敗した後でも、犯人が気丈に振る舞って可哀そうな感じが薄まったところである。

全体としては、見ている間は、いつものコロンボのように、緊張感があって大変楽しめる作品だった。


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