ゆったりとしたボンド~『007/ロシアより愛をこめて』感想~

『007/ロシアより愛をこめて』を見た。小学生の時に、テレビ放映されたものを録画して見た記憶があるが、内容に関してはほとんど覚えていなかった。

最近は、ダニエル・クレイグ版のボンドに慣れ親しんだせいか、ショーン・コネリー版の少しほのぼのとした雰囲気に最初違和感があったが、鑑賞するうちにそのレトロな雰囲気が良いと思えてきた。女性キャラクターの扱いがひどいという印象もうけたが、これはボンドが人でなしだからというより(その面も大いにあるとは思うが)、その当時の価値観の現れだと見るほうが自然な気がする。
また、上映時間は『007/ノー・タイム・トゥー・ダイ』の方が長いのに、全体的なテンポとしては、今作の方がのんびりゆったりした印象を受けるのが面白かった(ゆったりしているからつまらないということではない)。それは飛行機の旅より汽車の旅の方が長い時間がかかるが、かといって汽車の方が退屈かというとそうではなく、それぞれの旅で感じる旅の情緒は全然違うので一概に言えない、ということと似てるかもしれない。
今回は、配信で鑑賞したのだが、映画館で見たら、このテンポ感にまた違った印象を受けるのだとは思う。
今作はカバンに仕込まれた毒ガスなど秘密道具などが出てくるが、全体としてはシリアスでリアルなスパイアクションとしてまとめられており、意外と007の中では異色の作品と言えるのかもしれない。これから007シリーズをご覧になるという方は、順番に鑑賞していくより、様々な年代のボンドを見ていって自分のお気に入りを見つけるほうが、良いのではないかと感じた。

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