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『刑事コロンボ』鑑賞記録 第41話「死者のメッセージ」(ネタバレ)

最近、『刑事コロンボ』(吹替え版)を見直しているので、作品を見てどんなことを思ったか記録しておこうと思います。
今回は「死者のメッセージ」です。

※以下、作品の結末や物語の核心について触れた記述があります。ご注意ください。



『刑事コロンボ』の「死者のメッセージ」というエピソードを見た。吹替え版である。

推理小説家のアビゲイルは、自分の姪を殺した疑いがある男を金庫に閉じ込めて殺害する。コロンボが調査に乗り出すが・・・。

本作では、ダイイングメッセージを被害者が残す理由が丁寧にコロンボの口から説明されており、「なぜ直接犯人の名前を書かないのか。」「死にそうな時にこんな手の込んだことをするか。」という批判をあらかじめ予見して回避しているようで良かった。

ただ、今回最大級にモヤモヤしたところは「被害者が悪人すぎる。」ところである。
ドラマでは描かれないので、本当にアビゲイルの姪が殺されたのかどうかは、厳密に言うとわからない。しかし、被害者がアビゲイルの姪の写真を見てにやりと笑うシーン、コロンボが被害者の夫婦仲が悪かったことを指摘するシーン(コロンボが見当違いのことを言っているとは考えにくい)、などからやはり殺されたと考えるのが自然であろう。だとすると、被害者は殺人者でもあるわけで、さらに、善意につけこんで(結局罠だったのだが)殺した人の身内から遺産もかすめ取ろうとするという行為を働こうとしているのだから、はっきり言って殺されても自業自得(第三者の目から見れば殺人は絶対ダメだが)だ。にもかかわらず、「敵を討ちたい」とダイイングメッセージを残すというのは、とても疑問に感じる。法に従うとはいえ、ある意味被害者の希望を叶える形で、アビゲイルを逮捕するという結末にはちょっと納得がいかない。救いがなさすぎるのでは?
そういった意味では、コロンボが執拗に、ダイイングメッセージの文面をアビゲイルに読ませようとするのも不必要に厳しく感じた。

まあ、ここまでアビゲイルに共感を覚えるというのは、ドラマの持つ力なのだとは思うが。

ちなみに、『古畑任三郎』の中森明菜がゲストの回が、本作にオマージュを捧げたような作品で、見比べてみると面白い。ご覧になってない方はぜひ。

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