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モノクロが好きになったお話し/#181

フィルムカメラを始めてしばらくしてのこと。フィルムを教えてくれた友達が「フィルムの醍醐味はモノクロだよ」と繰り返し教えてくれました。当時の自分には全く理解できない概念で、彩り華やかなカラー写真が良いに決まっていると思っていた。けれど一度は味わいたい世界なので半信半疑で撮り始めたのを覚えている。そこでモノクロだから出来る表現や伝える力があると知った。それについて話したい。

撮り始めはモノクロフィルムはKodak TRI-X。感度が400あり使いやすく、世界的にも愛用者が多いスタンダードと言えるフィルムだ。フィルムを装填し撮り始めたのは良いが、撮りたいように撮れた感触が一切なかった。仕上がりが未知数で何をどう撮ればモノクロの良さが引き立つのか。そんなことを考えながらガムシャラに写真を撮っていた。

現像した写真を眺めて感じたことは、色がないからこそ写っているものに注力できること。そしてどんな思いでそれを撮ったのか撮影者の思いを想像するキッカケになると感じた。

単に色がない写真という単純なものではない。光と影の世界だからこそ、形や表情などそのものが有する特徴に目が向く。それがどんな意味をなしていて、どんな存在なのだろうかと考えると面白い。撮る時の意識も変わる。色に反応するよりも光や影、形、輪郭、表情など明らかに感度が高まる。モノクロだからこそ残したいものもあると感じた。

写真を撮る理由は残したいからであることが多い。僕自身そういう思いで写真を撮り続けている。その深みを増す向き合い方としてモノクロも良いと考えている。モノクロフィルムを使って自身の「友」を残して1冊にまとめたいと思案している最中だ。写真を通して出会ったかけがえのない人々。その人と向き合うためにもモノクロは一役買ってくれそうだ。


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