アイデア創出のヒント

先日の新聞記事でのこと。アイリスオオヤマの製品開発では、「当たり前の不便」をターゲットにしているとのことである。例えば、スーパーに買い物に行く時は、冷蔵庫の食材の在庫を確認してから買い物に行くというのが「当たり前の不便」であったが、それが冷蔵庫の中身をスマホで確認できる冷蔵庫の開発につながったとのことであった。なるほど、それなら誰も改善に取り組んでいないから新規アイデアになると思った。さらに私がこの発想に着目したのは、通常、課題となるのは「現状の延長線ではマズイ事になるぞ」といった、現状から見た潜在的なリスクを上げることが多いが、アイリスオオヤマの発想は、現状の延長線でも問題にならないが故に誰も気づかないリスクを上げている点である。日常の「当たり前の行動」をピックアップして、そこに本当に不便はないのかを分析するところが、ユニークな改善手法だと感じた。それ故に、高機能というよりもオンリーワンのユニークな機能をもつ製品を沢山生み出してきたのだろう。

翻って、私は医薬品メーカーに勤めるエンジニアである。顧みられない病や治療ができない病に苦しんでいる患者さんへの薬を開発および製造している。これは顕在化している明らかな課題であるが、アイリスオオヤマの発想で見てみると、どんな薬にも副作用や副反応がある、薬は苦くて飲みにくい、決まった時間に飲まないといけない、開発にお金と時間がかかるなど、当たり前になってしまっているけれども不便なことはたくさんあると思う。そもそも、薬は多少不便でも仕方がないといった風潮があると思うので、この発想は大変参考になった。アイリスオオヤマの惜しみない情報共有に感謝すると共に、それ故に大きく発展した企業なのだと思う。今後のアイデア創出の手段の一つとして活用していきたい。

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