日本での人材育成の重要性

先般、NHKのはやぶさプロジェクトの番組で、日本の人材育成の重要性が謳われていた。資源の少ない日本では人が最大の資源であり、成果が出なかったプロジェクトであったとしても、その結果、人が育っていることも成果と共に重要な要素であることを言われていた。はやぶさ、はやぶさ2の成功は、そういった情熱を持って挑戦していける環境が、人を成長させ、成功に導いたとのこと。

翻って自分の会社のことだが、リソース不足が課題になっている。医薬品メーカーであるため、GMPという法的な基準で適正な品質を維持するためのリソースを確保することが義務付けられているが、人もお金も設備も決して豊富ではなく、限られたリソースの中で果たさなければならない役割を全うしている。人を増やすのも難しく、お金をかけるのも難しい。例えお金をかけてリソース不足を解消するにしても、それをコーディネートできる人材が育っていない。そういった人を育てられる環境や人材も揃っていない。こういった中で、どうしたら社会にもっと貢献できる会社に成長できるのか。

はやぶさプロジェクトの話から、人材育成が鍵になるのは間違いないと確信したが、そのためには教育プログラムや体制などの環境整備はもちろん、人を育成できる人材も必要になる。一般的な専門知識や技術なら外部研修で習得できるかもしれないが、経験や独自技術・ノウハウの部分は外部での習得が難しい。では、どうすべきか。

その答えに私は、必要なスキルの整理と計画的な育成と考えた。必要なスキルとは、今のルーチン業務はもとより、会社の戦略に沿ったものでなければならない。ルーチン業務のスキルは比較的簡単に抽出できるため、会社の戦略に基づくスキル設定というのが、管理職の腕によるところだと思う。

スキル設定ができたら、後はそのスキルを自社で習得するのか外部セミナーで習得するのかを検討する。一般的な専門知識や技術については外部セミナーを活用し、自社技術やノウハウについては自社で習得するのが良いと考える。自社教育に当たっては、スキルを有する人が教育していくことになると思うが、スキルを有する人材は限られているし、技術やノウハウを伝承するには時間がかかることも多い。OJTが基本になると思うが、ノウハウ・コツ・考え方などの教科書では学べないことに絞り、基礎知識や専門知識は外部セミナーや自己研鑽で習得すべきである。ただし、企業には色んな人がいる。例えば、高校を卒業してまだ20歳にもならない子に自己研鑽しろというのも無理があるし、いきなり外部セミナーに行かせても付いて行けないことも想定される。そこで私は、スキル習得のための手段として、外部セミナー、OJT、自己研鑽に加えて、社内の座学も活用した方が良いと考えている。中学や高校で勉強するような基礎知識のようなものでも良いと思う。そして、座学の最大の目的は、学ぶことの楽しさや容易に学び直しができるといった安心感を持ってもらうと共に、自己研鑽へのモチベーションを高める目的もある。

最後に、設定したスキルに対して、外部セミナー、OJT、座学の3つの手段を用いて長期的かつ戦略的な計画を具体的に策定すること、これがこれからの日本の企業の人材育成に必要なことであり、最も企業が投資しなくてはならないところなのだと私は考える。

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