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あいまいな思い込みによる地方再生を避けよう!「まちづくり幻想」

先日、都市経営プロスクnote部顧問の木下氏が、「まちづくり幻想」という著書を出されました。

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帯の攻撃力の高さ、相変わらずの火の玉ストレートですが、著者自身の20年に及ぶ地方再生事業の実践から導き出されてきた重さのある言葉でもあります。

地方再生を情緒で語らず本当の問題に目を向けよ

著書では、「コロナ禍で東京一極集中が終わったというのはフェイクニュース」であると断じています。確かに東京都市圏に包含される川崎市の人口動態を見ても、人口増のブレーキの主要因は外国人の流入停止であったりします。

また、一定の恩恵を受けているのも東京都市圏のエッジにある熱海市などであり、「東京一極集中の終わり」ではなく「一極集中の中の一部の動き」であるようです。

これは地方再生が「地方から人が減って消滅する=かなしいこと」「地方が再生する=いいこと」くらいの理解と関心で留まってしまい、なにかと情緒的に偏った情報が飛び交いやすいという傾向にあるということではないでしょうか。「強い悪党の東京と弱くけなげな地方」という、幼稚な二元論的判官びいきもあるかもしれません。

どの地域でもそうですが、地域が再生しないのにはそれなりの理由があります。例えば「都市が若者や女性を吸い上げる」と言われても、若者や女性を軽視する旧習を持つ地域にはそんなことを言われる筋合いはないのです。また、都市内でも身の丈に合わないプライドをかざしている地域は、今後地域間の競争に敗れていくでしょう。

野村克也氏の座右の銘、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。」は地域再生の分野でも通用することです。

善きものへのフォロワーシップを発揮せよ

よいチャレンジがまちの中に出てきたときには、例えばそれを買い支えて応援するなど具体的行動を示しましょう。よいと思っていながら日和見を決め込むこと、「『様子見』は、潰しに加担しているのと同じ」であると著者は言います。

これは組織内でも同じことが言えるのではないでしょうか。和を尊ぶ日本社会では、出る杭に対して周囲が「様子見」を決め込む機会が多いのではないかと思います。よいと感じたことには無言。少しでも何か不安を感じたら大声で喚きたてる。そんな風習の中でイノベーションは起こらないでしょう。

自分が中心的に物事を動かす側でなくても、フォロワーとして「善いこと」を具体的行動で支えていくことが重要です。この辺は、「社会運動はどうやって起こすか」というTEDのスピーチが非常に直観に訴えかけるかと思います。

自分で自分を教育して本業に貢献することも大切

著者は役所内の意思決定層に向けて、「外注よりも職員育成」に力を入れよと主張しています。しかし、私もそうですが、意思決定層でない役所の職員の場合はこの点で何もできないでしょうか?

そうではありません。自分で自分に教育投資してしまえばよいのです。私はコーチングのトレーニングも受けていて、仕事柄副業という形態ではできませんが、地域の方向けに時々やらせてもらっています。

このコーチング的な傾聴スキルというのはとても重要で、必要に応じてこのエッセンスを組み込んで対話をすると非常に仕事が楽になります。

また、仕事の事であっても、自分への教育投資は自分のためになるということです。繰り返しですが使えるスキルがあれば仕事が楽になりますし、それを磨いていけば最悪自治体が潰れても何かで食べていける道が広がるかもしれません。

また、都市経営プロスクに通って公民連携の基本的なやり方を学んだり、各地で地域再生を実践している方々との繋がりをつくることで、何かと本業の仕事でも貢献するようにしています。

そうしていって上司からは今のところ「他の人にはできない仕事をしてもらっている」というフィードバックを貰えています。

組織内では批判だけでなく貢献によって行動と影響の範囲を広げていきたいですね。

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