酒と泪と男と女と飲んだくれども【2】
ども。サトキこと倉橋里実です。お読み頂きありがとうございます。あ、倉橋とは役者やってた時の芸名です。生意気に。
前回、勢いで書いた『酒の席での修羅場』はぜーんぜん序の口だったのでw今では笑い話な、でも当時は大変だったエピソードを今日はまたふたつ。
今回は『ゲイ』絡みのお話です。
(LGBTが色々問題になってるこんにち、決して茶化してる訳でなく、そもそも25年ほど前のエピソードを『楽しい思い出』として書いてますので、そのあたりご理解下さい)
【初めてのゲイバー】
役者になって間もない頃、所属プロダクションが『養成所公演』を打つということになり、毎日舞台稽古に明け暮れてました。
いよいよ一週間後が本番、というその日、先輩が稽古終わりに飲みに連れていってくれたんです。一件目は居酒屋。そして二件目は
『おい、ゲイバー連れてってやろうか』
先輩は慣れた足取りで飲み屋街の外れの怪しい路地に進む。扉を開けて『まいどー』。
カウンターだけの小さなお店。カウンター内には二人の人物。ガチムチマッチョな蝶ネクタイの男性と、真っ赤なドレスを身に纏った女性、、ん?女性?
お二人とも気さくに話してくれて、聞けば、男性=マスターは『バイ』。ドレスの女性は男性で、その頃はまだ珍しいニューハーフさんでした。
程よく酒も進んだところで先輩が
『おいお前、舞台の宣伝しとけよ』と。
はっとしてカバンからフライヤーを取り出し
『実は来週舞台に出るんです。初舞台でして』
というと、マスターもホステス(ってもう言っていいよね)さんも凄く興味を持ってくれて、マスターはフライヤーをお店に貼ってくれるし、ホステスさんは
『私この日休み!観に行くね!』
とまで言ってくれました。
でもまあ、だいたいこういうシチュエーションでは
行けたらいく
が大抵の反応で特に期待もしてませんでした。
閑話
途中トイレに立ったら、便器のある壁に不自然な小窓があり、???と思ってたらマスターが僕のトイレ風景を覗いてたそうですw
閑話休題。
さて、舞台本番当日。
客入れも始まり、楽屋でメイクなど準備してるところに受付スタッフが
『あの、倉橋さん宛に差し入れがきてるんですが、、その、バラの花束が!』
見れば20本以上束ねられた真っ赤なバラ。
え、ど、どなたから???
『えーっと、よくわかんないですが、男みたいな声の女の人でした』
いやそれ
【女みたいな男の人】や。
たかだか入った飲み屋で話した舞台のことを、ちゃんと覚えててくれてこんな素晴らし恥ずかしいプレゼントまでくれたニューハーフさん。その義理堅さに感動を覚えました。
【有名演出家にお持ち帰られ未遂】
先程のエピソードとほぼ同じ時期、色々舞台役者としてもっと勉強しなきゃと思う毎日の中、東京の某有名コメディ劇団の演出家さんのワークショップがあると知り早速応募。一週間の日程で、毎日新鮮な発見もありとても勉強になりました。
そしてその演出家さんはとてもお酒好きだったので、ワークショップ終わりには毎回飲み会です。僕もお酒は好きなので毎日飲み会には参加し、色んな業界のお話を聞かせてもらいました。そしてとうとう最終日も終わって打ち上げ飲み会。
名残惜しい帰り際、演出家さんは僕に連絡先を教えてくれて
『東京に来ることがあったらいつでも連絡下さい。また飲みましょう』
と。
もう天にも舞い上がる気持ちで、でも
東京で役貰えるまでには何時までかかるか、、
と凹む気持ちもありました。
しかし
しかし、なんと!
その数ヵ月後プロダクション主催の商業演劇で役を貰い、しかもそれはビッグネームの役者さんを絡めて全国巡業するという、、
なので
舞台稽古はメインキャストに合わせて東京で。一週間、ホテル取るから。
ぐはー!きたきたきたー!
早速、その演出家さんに連絡。
『大きい舞台で役を貰えました!稽古で東京に行きますのでお時間あれば、、』
演出家さんはすぐさま快諾してくださり、お忙しい中、僕の稽古終わりにご飯に誘ってくれました。
待ち合わせは新宿。
相変わらずのニコニコとした表情で
『久しぶりだねー』
と。も、この時点で涙でそうでした。こんな名もないぺーぺーの僕と二人で会ってくださるなんて。
『お店、予約してるんだけど、、エスニック料理大丈夫?』
えーそんなお店まで予約して頂いてるとは!
姫ですか?僕はお姫様ですか?
しかし、この↑言葉は、後で冗談ではないことを知るのだ。
エスニック料理に舌鼓を打ちながら、色々演劇の話で盛り上がり、お店を出て
『もう一軒いく?行きつけのショットバーがあるんだけど』
僕としては終電でホテルまで帰れば全然オッケーなのでもちろん快諾!
連れてもらったお店は、ジャズが流れるシックなショットバー。
おされー
おとなー
そんなお店のカウンターでバーボンなどを飲んで、
ん
微かな違和感があった。
お店に入った時には気にはならなかったが、
途中で入ってきた男性二人客、
?
ん?
【手を繋いでる!】
店内を見渡すと、見事に男性客二人組ばかり。
男性カップルだらけ
ぞわぞわぞわ
時計を見るとそろそろ終電時間。
『あの、そろそろ終電なので僕そろそろ』
『いいじゃん、泊まっていきなよ。この辺ホテルいっぱいあるし』
!!!!!
後程そこは【新宿二丁目】
だったことを知る。
そう、
かの演出家さんは、そっちの性癖のある方だったのです。
なんとか逃げるようにお店を出て終電に乗り込みました。
あとで、先輩から
『あの人そっちで有名やで!』
って。
邪な考えながら、もしかしたらあの時抱かれてたなら、【枕営業】でもうちょい役者としていい仕事くれたのかな、なんて、
ぜーったい思いませんから!!!
次回予定
『ゆきずりのニューハーフさんとホテルで過ごした夜』
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