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「過保護にされたい」

「ケホッ、、、、ゲホゲホっっっっー!!」


大してしたくも無い、わざとらしさに満ち溢れた咳払いからの、かなり咳き込むまでのフルコンボ。

「おぃ!!人のパーソナルスペースを飛沫的なもので侵害してくんなこの中年のカスが!!!」

という死んだ魚の目ライクな真顔で見つめられ、殺傷能力に溢れた攻撃的な視線がほぼほぼですよね、という、ひと車両推定ザックリ200人位のホモサピエンスの群れの中に、この中年のカスに慈悲に溢れた一対の瞳を向けて下さるお方に気づく中年の搾りカスな私。

「だ ぃ じ ょ う ぶ で す か???」

「はぅっっっ!!!」

無論声という周波数は中年のカスの耳的なパーツには届いてはいない、がしかし、マスクをしていない令和のナイチンゲールのお口の動きを、持ち前の唯一の特技、そう読唇術でポジティブな解釈で脳内に伝達し多幸感に包まれつつ、あわや下車駅をドスルーしそうになる中年のカス。

ルーティン通りに下車し、ホームを歩き、改札を抜けて職場へと向かいながら全身のありとあらゆる細胞レベルで欲しがっている思い、いや想い…


「過保護にされたい!!!」


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