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金沢まち歩きの「おもてなし」 -工芸編-
第一章: 金沢の工芸の歴史
金沢の伝統工芸は、加賀藩の歴代藩主が文化政策に力を注いだことから始まります。加賀藩は、各地から優れた名工を招き、漆器や染色などの技術を金沢の地に根付かせました。この歴史的背景は、金沢の工芸が日本有数の高品質なものとなった理由の一つです。
第二章: 蒔絵の装飾が映える「金沢漆器」
金沢漆器の技術は、加賀藩3代藩主前田利常が京都から名工・五十嵐道甫を招いたことから発展しました。漆器は茶道具を中心に、日常使いの食器や調度品まで幅広く制作されており、その美しさは国内外で高く評価されています。特に、蒔絵は漆を塗った絵柄に金粉などを吹きかけて定着させる技術で、金沢漆器の象徴的な装飾方法です。
第三章: 五彩鮮やかな「金沢九谷」
金沢九谷の起源は、加賀藩が文化3年(1806年)に京都の名工・青木木米を招き、金沢の卯辰山に窯を開いたことに始まります。九谷焼は、九谷五彩と呼ばれる基本の五色に加え、金を使用した豊かな色彩と精巧な上絵が特徴です。代表的な技法には、木米風と金襴手があります。
木米風
青木木米が伝えた様式で、全面に赤を施し、五彩を使って中国や朝鮮風の人物などを描きます。
金襴手
全面を赤絵で下塗りし、その上から金のみで文様を彩色する技法で、豪華で気品あふれる作風が際立っています。
第四章: 糸の妙技「加賀繍」
加賀繍の技術は、室町時代に京都から仏教とともに伝わりました。加賀藩の保護を受けて発展し、将軍や藩主の陣羽織、奥方の着物なども彩りました。加賀繍は、金や銀、カラフルな絹糸で作られる図柄がすべて手縫いで、立体感と光沢、写実的な表現が特徴です。
代表的な技法
肉入れ繍
図柄を立体的に見せるために、糸を幾重にも重ねて縫う技法です。時には、綿を入れて糸を上から押さえるように重ね縫いします。
ぼかし繍
デザインに合わせて絹糸の色を変えながら縫い、美しいグラデーションを生み出します。
第五章: 慶事に華やぎを添える「加賀水引」
加賀水引細工は、大正期に加賀水引の作り手であった津田左右吉が考案しました。平面上に形を成していた水引を立体的に組み立て、細工を施すことで、より華やかで繊細な装飾品となりました。津田水引折型は、初代津田左右吉が創業し、現在まで5代続く専門店です。
結びに: 石川県立伝統産業工芸館と金沢駅の工芸
石川県立伝統産業工芸館では、金沢の工芸品を一堂に集めた展示が行われています。金沢和傘、二俣和紙、加賀毛ばり、加賀てまり、加賀人形など、多彩な工芸品が展示されており、その技術と美しさを堪能できます。
金沢駅のコンコースもまた、美術館のような装いをしています。県産材の能登ヒバ製の柱には、石川が誇る伝統工芸プレートがあしらわれています。また、駅の中心部には、大樋焼の巨大陶壁「日月の煌」が設置されており、訪れる人々を魅了します。
金沢の工芸は、歴史と文化が織りなす美しさと技術の結晶です。まち歩きを通じて、この伝統工芸の魅力を存分に感じてみてください。金沢の工芸がもたらす「おもてなし」の心に、きっと感動することでしょう。
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