変わった夫婦
うちの夫婦はちょっと変わっているらしい。
まだ恋人だった頃、彼に「ちゃんと仕事が決まったら結婚したい」と言われた時、私は少し考えた。
また別で書くつもりだけど、私たちは初恋の相手同士で、小さい頃から憧れていた彼のお嫁さんになれるなんて夢みたいに嬉しかったし、彼にもそう伝わった筈だ。
彼の仕事の事が問題だった訳でもない。性格も容姿も私には勿体ないくらい素敵なひとだ。
問題なのは私だった。
私は数日考えてから、決心して彼に話をする事にした。
「 私と、一生恋人でいて欲しい。」
私は自覚がある程ものすごく恋愛体質である。
結婚するならそういうものを捨てなくてはいけない、持っていてはいけない。私のなかでは結婚はそういうものだった。社会的にみても、今の日本はそうだし、歴史的に見たって昔からずっとそうだった。たったひとりの人だけを生涯愛し抜く。それは勿論美しく、素晴らしい。でも、私には合わないのだ。
結婚すると、相手は生活のパートナーになる。
生活は毎日自分と隣り合わせにあって、その影響は大きい。そうなると大抵の人は、安泰で安穏としたものがいいし、大きな変化を多くは望まない。特に日本人は、波風が立つことを嫌う。恋愛をそこへ持ち込めば、その平穏は脅かされる事になるのだ。そこで、お互い距離をとる。気持ちも身体も少し離して、そして諦めを重ねていく。
そうやって囲った安穏の末に、恋人だった2人は、お互いへの恋情を忘れていく。
それも幸せかもしれないが、私にはできない。そこで、彼には予めその事を告白しておかないとと思った次第である。
「私は一生、貴方をときめかせられるように努力し続けます。
毎日恋して貰えるように頑張ります。
どんなに歳を重ねても、お母さんになっても、私はずっと女性でいたい。
だから、貴方もそうして欲しい。
私を一生ひとりの女性として扱ってほしい。」
なんだ、可愛いじゃないと思って下さった方が居たら先に謝っておきます。すみません。これは可愛い女の子の話ではないのです。ちょっと面倒な女の話でもありません。
とっても偏屈な人間の話です(笑)
「私がもし、貴方にときめく事がなくなったら、若しくは貴方が生活のパートナーとしてしか私をみれなくなったら、
私は違うところで恋をします。
自分でときめく人を探しにいきます。足りないと感じたら、他で補います。私はそれを申し訳ないとも悪いとも思いません。
だから、貴方がもし結婚して安心したいなら、私は貴方のお嫁さんには相応しくない。私は貴方とはこれからもずっと恋をしていたいんです。」
もう半分、これは振られるよなと思いながらの告白でしたが、彼は驚いてはいたものの、返事は意外にもすんなりと「わかった。頑張る」の一言でした。
そんなわけで、私たちは“恋人で夫婦”という少し変わったカタチの結婚をしました。結婚式での誓いのキスも、唇ではなく額にしてもらいました。額にするキスには親愛と友情の意味があるそうで、相手を可愛がるという意味合が強いとか。
一生可愛がるよ
一生可愛がって貰えるよう頑張るよ
という誓いのもと、私たちは始まりました。
因みに、私たちの“夫婦”は1年更新制。結婚記念日の前日には2、3時間かけて更新するかしないかの会議を行います。
次回はこれについて書こうと思います。
面白い(?)“恋人で夫婦”の変わったルールも、またおいおい書いて行こうと思います。
お疲れ様でした。
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