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「面白くない」「変」「ブス」「バカ」「怖い」等のお得disに対する雑感

○コスパが良すぎる

人の気持ちや価値観を尊重して動こうとしているタイプの方に使える「お得dis」として、「面白くない」「変」「ブス」「バカ」「怖い」などのワードがある。これらはとにかくコスパがいい。詳しい説明を省きながら、言われた相手を一段「下」に置ける感じのするワードとして機能してしまっている場面をよく見る。

これらお得disを他人が言われているのを見ると、6割ぐらいの状況で「相手が自分の感情や発言を尊重してくれることを前提とした“黙らせ”だな〜」と思う。

会話などにおいて話し方や単語の選び方は重要だし、見た目のノイジーさを取り除いたり、連帯感を持てるように振る舞うことは物事をスムーズに運ばせたいときに便利なのだが、便利なのだが、「お得dis」をがんばる人が周辺にいると、基本的には場の状態が「無」に近づくだけなのではないだろうか。

女性向けの「ブス」に匹敵するお得disはあるだろうか。と男性にヒアリングしてみたとき、3人ぐらいから「面白くない」なのではないかという回答をもらった記憶がある。

「ブス」が

・面白い肉体か
・面白くない肉体か

といえばおそらく前者、面白い肉体なのではないかと思うし、
一般的に美人=面白いという形にはおそらくなっていない。
(美人=勃起させ力があるみたいな取り扱いになっている。死。)
これはどういうことか。

おそらくたいていの「ブス」「美人」は骨肉に紐付けて放たれている言葉ではないし、「面白くない」「面白い」も精神に紐付けられた話では「ない」のではないか。

これらはすべて「自分に対するサービス精神に欠けている」という文句としてまとめられるのかもしれないけれど、そんなん甘えと侮りがすごい。「自分は、自分だけは他人から積極的にサービスをされるべき」だという前提はマジで謎。
なのだけれど、謎を謎のままにしておいても大変なので、一旦

“言っている側は「自分が対外的に行なっているサービス疲れ」によって、人の「やらない」が怠慢に見えているのかもしれない”

ということにした。

①最悪なお客さんに遭い続ける中で努力を続けている接客業の方が、
②自分のやっている水準に満たないように感じられる接客の方に「バカ」などと怒鳴る
③怒鳴られた人が頑張って「怒鳴られないための」努力をする

①に戻る

みたいなループは実際あるように思う。「コンビニにて、煙草を銘柄で注文されたとき、即座に探し当てられない人間は怠慢。なぜなら自分はやっているから。」のような話。

能力は人によるのであんまり恫喝しても無駄だと思うけれど、疲れていると何もわからなくなるようなことは往々にしてある。①の接客業をやっている方が「自分が優秀だからやっていけている」or「自分にも足りない箇所がたくさんある」と思っていてくれてさえいれば②に対する「バカ」の怒鳴りが発生しなくていいのだと思うけれど、そうもいかない場合もあるんだろうなと思う。

全員番号で煙草を注文すればいいだけなのに、何故。

ガチのバカに「バカ」言うたら刺されたり殺されたりするだけだと思うので、頑張れる人が頑張れる人同士で殺し合いをしているような状況がそこにはある。無である。


○なんも説明してないのに便利

お得disは、それを使う個人や団体の中にある問題を一切解決してくれないのに、「何かを説明している」雰囲気が広く認められすぎているせいで、なんとなくスティグマとして機能している。

博士号持ってる人でもバカと言われ、トップモデルですらブスと言われ、NHKのアナウンサーさんですら怖いと言われている。それぞれ仕事しているだけなのに。

「自分に対して最適化してくれていないもの=自分にとっての普通or自分にとって上等でないもの」が気に食わないだけなんだろうけど、頑張っている人に対して「みんなで寄ってたかって劣等だということにしましょうね」という勢力が強い。

「普通」のロールモデルは少なくとももう日本には存在しない。
サラリーマンという概念が普及したのはここ100年ぐらいの事だったと思う。
「普通」っていうと漠然とした調和のイメージが浮かぶものだと思うけれど、「普通の人」と聞いたときに6割方の人間がパチッと思い浮かべるような人物ってたぶん存在しないのではないだろうか。上等もそうなんだけど。

それぞれの「お得dis」は個々人にとっての真実としてそこにある体感ではあるんだろう。私もバカ(もう相手の人生についてこちらが興味を持てる感じではない)を見たら一人で「ええ…なんかもう…バカじゃん…」とか言ってるし、基本的にはお得disを駆使しながら連帯し、「敵」として立ち現れてくる人をバッタバッタと倒したくなったり文句を言ったりしたくなるのが人の性のようである。みんなで押すと倒れるから倒したくなる。みたいな。

お得disを用いて他人にラベル付けを行いにくる人にお認めいただく必要って、実はあんまりないと私は思っている。人はそうそう倒れないし、折れないし、改心してはくれない。お得disを集団でまき散らしたがる人に対してお得disで返したところで「この世はそんなに良くならない」ということを私は知っている。

人生が丸ごとお得disのやりとりや、その周りを取り囲む「コスパ」とか「タイパ」とかいう概念に巻き取られてしまうともう終わりというか、ゾンピパーティ待ったなし、共食いしつづけて野を耕さずに墓場を広げてゆけ…みたいな感じになるというか。私はお得disを「無〜」の枠につっこんでいくためにこれを書いています。

○お得disがたくさんある場所〜匿名掲示板を見るな〜

理由:匿名だから。

お得dis渦巻く場所、匿名掲示板を見て「なんとかしなきゃ…」って言ってる人の話を聞くと「まず匿名掲示板を見るのをやめたほうがいい」ということを、私は必ずお話ししている。

まともな人や企業は匿名掲示板で書かれていることを鵜呑みにはしない。名前を出して社会活動を行っている人・行っていこうとしている人が、責任の発生しづらい場所で行われている言動を現実のものとして採用しようとするのは正気の沙汰ではない。そんな人はたぶん人口の1%ぐらいしかいない。ガスライティングし放題の場所でなんとなく正気を失わされるのは誰にとっても損だと思う。訴訟する金がうなっているタイミング以外で見てもしょうがないというか…。

「匿名掲示板に罵詈雑言を書き込んでいた」という人に話を聞いたことがある。「なぜそれを言って良いと思ったんですか、そして何故書き込んでいたんですか」と伺ったところ「なんとなく、ストレス解消でブスとかバカとか書いてたな」というようなお話をいただいた。

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