The Ethics of Hidden Desires ∴ 隠された欲望の倫理 第二話 愛情
30代の頃に音楽で成功を収めた私は、その元手と親族に金を借りて、タレント事務所兼、タレント養成所を作った。
初めは私1人で、運営からレッスン、イベントのブッキングまで全て行って居た。
自前のレッスンスタジオなどなく、場所をレンタルして、彼等にダンスを教えた。
曲や振り付けは、知り合いに頼んだり、費用を払い制作を依頼した。
中には私が作った作品もあったが、多くは外部の人に依頼して作ってもらった物が殆どだった。
当時、男性アイドル専門の事務所は無かった。
パンクやロックが音楽業界を賑わす中で、幼い少年がポップスを歌う姿は立ち待ち話題となった。
私が作ったジャニー・エンターテイメントは一気に有名事務所へと上り詰め、芸能界では知らない人は居ない程に有名になった。
徐々に会社は大きくなり、私が40代の頃には自社ビルを持つ程になった。
運営はそれぞれの専門家に一任して居て、今では私が運営に携わる事はほぼ無かった。
それでも、たまにレッスンを見たり、イベント会場にも足を運んで、彼等の活躍を心から喜んで見てた。
メンズアイドルを目指す者の中には、親と不仲な子や、他に何処にも居場所が無く捨てられた様な少年達も居る。
そんな子は、親の承諾を取ったり、寮が決まるまでの間は、一時的に自宅に住まわす事もあった。
私が見捨てれば、犯罪を犯して生きて行くしない子もいるから、しょうがなかった。
私だって、1人の時間は好きだ。
確かに、純粋な少年の事は好きだし、愛が無ければメンズアイドルを育てようとは思わない。
しかし、彼等の中にも色んな子が居る。
中には物を盗む様な子もいるし、煩かったり、人の言う事を聞かない子も多い。
そんな彼らを自宅に住まわすのは、ひとえに愛情からだった。
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