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お偉いさん方が集まって月を観察する神秘的な夜

遅ればせながら、
🌟ラマダンカリーム🌙

今月の始め、ラマダンが終わりました。
私も中東で働いていた間、
ラマダンを2回経験しました。

最初の1年目は、
ある時期になると周りの話題が
ラマダンで持ち切りだったので、
どんなことが起こるんだと
ソワソワしていました。

ラマダン期間を、
あの国で経験できて
とってもよかったと思います。

ラマダンあるある

🚗交通事故が増える

ラマダンになると、
日中の断食(水も飲めない)で注意力散漫に
なってしまうそうです。
ある年は、あっつい真夏の8月が
ラマダン月だったので、
ホント―にしんどかっただろうなと
思います。

どんな暑さかというと、
車のボンネットで
目玉焼き🍳ができるくらい。
※挑戦したことはないです。

夕方になると、
日没に間に合うように、
ご家族や友人のもとに移動したり、
モスクに向かう人も増えるので、
交通事故も増加するらしい。

2022年のラマダンの最初の10日間では、
47件の別々の交通事故で3人の運転手が死亡し、
34人が負傷。
同期間に29件の事故で1人の死者と
23人の負傷者が報告されたそうです。
2021年よりも事故の件数は増加。
Khaleej Times 2022年4月15日の記事より

☕️食べ・飲み歩き禁止

私が住んでいた場所は、
外国人も多く、
ラマダン時の規制がかなり緩かったです
(長期そこに住んでいる人によると
毎年厳しさが違うとか)。

観光で潤っている所だったので、
観光客への配慮もしつつ、でも、
やっぱり断食をされている人たちにも
チラーっと気を遣って、
スタバとかのカフェでは、
ドーナツ🍩やケーキ🍰が陳列している
冷蔵庫が布で覆われ、
レストランでは
人々が食事をしている姿が見えぬよう、
カーテンが閉じられています。
一見、営業中なのか、
外からではわかりません。

こんな感じでカーテンが。
でもこれは別の時に撮った写真です。
ラマダン中にこれやったら、つまみ出されます。


確か、モール内のお店では
BGMを流すのも禁止だったような。
普段は、お祈りの時間だけBGMが止まり、
終わればまたBGMが流れる
という感じです。

モールなどにあるフードコートでも、
入り口前にパーテーションが設置されます。

🌙ラマダン期=オフシーズン

事故も増えるし、
その他気を付けないことも諸々あるし、
いつもワイワイにぎわっているモールなども
日没までは静かなので、
ラマダン期はオフシーズンとなります。

だから、普段は泊まれないような
高級5つ星やら
7つ星(んなもんないか?)の
ホテルに普段よりお安く
泊まれたりするのです。

日没後には、各ホテルが
屋外にテントを張って、
イフタ―ルという食事を用意します。

ずらっ
バイキング形式。


星や月の装飾が施されて、
まさにアラビアンナイト✨
のような雰囲気なのです!

勝手に装飾使う…
エアコンもバッチリ効いてます👍🏻

もちろん、イスラム教徒でなくても
食事することができます。

ラマダンの日は突然決まる

私の想像ではお偉いさんたちがこんな感じでわちゃわちゃやってる。

イスラムの国々での宗教行事では、
イスラム暦が使われ、
月🌙が非常に大きなパワーを持っています。

イスラム暦の9カ月目がHoly Monthと呼ばれる、
神聖なラマダンの月なのです。

ラマダン月が終わると、
休暇(イード)があり、
祝日なので仕事もお休みなんです🙏🏼

しかし、ラマダンの開始は、
ラマダン開始前日にしかわかりません。
ラマダンの終わりも、
終了前日までわかりません。
だから、休みの計画を立てるのが
難しいんです🤔
ただでさえ祝日が少ないので、
ラマダンとイードがいつになるのかは、
みんなの関心事項でした👀

なぜ前日までわからないのかというと、
イスラム暦8月の最後の日に、
お偉いさんたちが集まって
新月が肉眼で確認できたら
ラマダンが始まるからです。

(でも、新月って何も見えんよね?
と思ったんですけど、
三日月よりもっともっともーっと
細い光の筋のような🌙が見えれば
OKってことかな?と思っています。)

だから国によっても
開始日がちがうんですね。

お偉いさんが
「あいやー、今日、月見えんわ」と言ったら、
また次の日、月を観察するんです。
ラマダンの始まりも、延期されます
(ラマダンの終わりも決め方は同じ)。

このお偉いさん方の集まりは、
「moon sighting committee(月を発見する委員会)」
という嘘のような名前で呼ばれています。
部活なの?!

ハイテク命!みたいな国なのに、
ラマダンの決め方は超ローテク。
私はそこにロマンを感じていました。

あと、おじさんたちが集まって
あーでもこーでもない言いながら
月を見ている姿も
想像したらなんかかわいい笑。

相手を思いやり、分け与える精神

私は中東で秘書をしていたのですが
私たちの会社でドライバーを雇っていました
(もちろん私を送り迎えしてくれるわけではなく、
私の上司である先生専用)。

ドライバーはいつもニタニタしていて、
優しさの塊みたいな人でした。

通常ラマダン期間中は、
1日の勤務時間を2時間ほど短縮する
というのがルールなのですが…。

彼もイスラム教徒なのに、
先生の過酷なスケジュールに
1日10時間以上付き合ってくれていました
(訴えられたら、きっと先生が負ける笑)。

たまに先生が出張中の時は、
仕事なんてしなくていいのに、
私を家まで送ってくれました。

私の家へ向かう途中、
「寄り道して良い?」と
彼が立ち寄った先は
モスクでした。

30分ほど(意外と長い笑)
車中で待っていると、
車の外では続々と人が
集まっていました。

やっとドライバーが帰ってきたかと思うと、
「これ、あげる」と
アルミの容器に入った何かを
手渡してきました。

中を見るとビリヤニ(※)でした。
(※)ビリヤニ:インドの炊き込みご飯

確かこれビリヤニだったと思うけど…

ラマダン中、
日の出~日没までの断食が終わると、
家族や友人、
同じモスクに通う人達と一緒に
食事(イフタ―ル)をするのです。
モスクでは、
無料で食事を配ってくれるのです。

「えー-!もらえないよ!💦
私ちゃんとランチ食べたもん!」

というと、いつものニタニタ顔で
「ビリヤニ、好きでしょ」
と言って、私が何度断っても
彼は一歩も引きませんでした。

そしてありがたく、
ホカホカのビリヤニを膝にのせて
家まで送ってもらいました。
ラマダンって素敵だなと思いました。

先生は、
このバファリンみたいな
ドライバー行きつけのモスクで、
イフタ―ルをしたそうです。
モスクではタテ2列になって、
向かい合いながら
地べたに座りながら食事をします。


別にイスラム教徒でなくても、
ラマダンに参加することはできるし、
ラマダンの寛大な精神にあやかることも
できるのです。

あの時の経験を思い出して、
ほっこりした土曜日の朝でした。





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