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健康的なバターに出会う、ずっとずっと前の話3~私の恋愛黒歴史~

13. 2012年9月~2013年5月

Previously on Majimena Butter前回までのお話

私たちは、
完全にセフレだった。

体の関係を持った日から、
連絡の頻度ががくんと減り、
メール(当時彼はガラケーだった)をしても
彼から返信が来ないこともザラだった。

でも、月に一回は何とか会っていた。
もちろんホテルに直行だったが。

それからも私は、彼を追いかけたり、
たまに数カ月ほど距離を置いてみたり、
いろいろしたが、
彼にはちっとも響かなかった。

セックスで、こんなにも関係性が変わってしまうなんて、
思ってもみなかった。

しばらくして、彼も仕事を辞め、東京に帰ってしまった。

それでも、数カ月に一回突然連絡が来て、
「明日、お前に会いに行くわ」と
遊びに来てくれたこともあった。

2人で温泉旅行に出かけたこともあった。

たまに私にも餌をやらないと、
彼にとって都合の良い関係はキープできない、
と彼も分かっていたのだろう。
私はただのセフレで、
それ以上でも、
それ以下でもなかった。

そんなある日、
彼と働いていた頃の会社の先輩から連絡が来た。
「〇〇(私の本名)ちゃん元気?久々にご飯行かない?」
この先輩は、彼のトレーナーだった人で、
彼ともまぁまぁ仲が良かった。

この先輩は営業成績がいつも全国トップの営業マンで、
イケメンではないし、
背も高くないのに口が達者(ボロクソ…ごめん先輩)で、
周りに女性がたくさんいた。

地元に彼女がいるのに、
私たち同僚にはひた隠しにして、
後輩と付き合っていたらしい。
でも、噂に聞くだけで、
誰も真相を知らなかった。
知っていた人もいたのかもしれないが、
誰も何も言わなかった。

羽振りもいいし、ご飯に行くと
「〇〇(私の本名)ちゃん今日もかわいいね~」と
空っぽの誉め言葉をたくさんくれた。

そんな先輩からの言葉が、
当時の私には必要だった。

誰にでもいいから、
優しい言葉をかけられたいと思っていた。

先輩は、おいしいご飯をおごってくれた。
その代わり、お酒を飲まない私が運転し、
帰りは車で先輩を家まで送り届けた。

先輩は、車を降りなかった。

「家来て。」

この先輩の誘いに乗ってしまったら、
彼との関係も、何もかも全てが終わると思った。

だから「止めておきます」と何度も断った。

いや、もしかすると私も誘われたのが嬉しくて、
きつくは断らなかったのかもしれない。
あの夜の記憶は、本当に曖昧だ。

先輩を説得してみたが、
その時の先輩は、
もうそういうムードだったのだろう。
頑として譲らなかった。

きっと私からも、
セフレ扱いされている女の匂いが漂っていたのだと思う。「こいつ、今ならイケる」と、
かぎ分けられてしまったのだろう。

1時間も、車の中でヤるヤらない議論を繰り広げていた。
私は根負けして、
私は先輩の家に足を踏み入れた。

そして、「先輩は地元に彼女がいることも、
今のところ隠し通せているし、
遊び人の口は堅いだろう」と
安易に考えていた。

この時の私は
ヤケクソだった。

︎4に続く▶︎






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