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農業の現在地点

新たな時代の幕開け

農業はあたらしい時代を迎えようとしている。

私たちの祖先が種をまき始めたように、化成肥や化学農薬を使い始めたように、農地集約や農業機械を使い始めたように。私たちは今時代の変わり目の農業者として今日も畑を耕す。
IT革命が世の中にもたらされてから約30年。私たちの生活は信じられないほど変わってきた。生活のほとんどがスマートフォンに集約され、財布すらも必要がなくなった。
そして人々は大量の情報やデータを瞬時に扱い私生活やビジネスに応用してきている。

それは農業においても例外ではない。小さな個人農家ですら野菜栽培に多くの情報を取り入れ生かしている。少し昔の農業とは全く違う営農形態だ。
“データサイエンス”これが農業の新しい時代のキーワードになる。

農業第四世代

農業の始まりが人類繁栄の要因の一つであることはであることは疑いようのないことであろう。食料を安定的に入手する手段を得たことで子孫を増やすことに成功したのだ。そして私はこの「種をまき始めた世代」を”農業第一世代”だと考えている。つまり農業という技術を最初に確立した人々だ。そしてそこから時代は長く続き緑の革命が近代で発生した。この緑の革命は化学肥料の発明や化学農薬の発明により農作物を安定的に生産することに成功した。この「化学農薬、化成肥料を使い始めた世代」を農業第二世代と私は呼んでいる。そして機械化や土地の集約を実行し農業を「効率的にした世代」を農業第三世代と呼んでいる。このように現在の農業は先人の知恵と努力によって積み上げられたい礎の元成り立っているのである。
私たちはこの農業革命のバトンを引き継ぐものとして次の世代へ農業を前に進めなければいけないと考えている。そして私たちは大量のデータを活用して「合理化する世代」即ち農業第四世代なのである。

農業の合理化

私たち農業第四世代の役割は「農業の合理化」であると考えている。
合理化とは読んで字のごとく”理(ことわり)に合っている”ことで理とは水は高いところから低いところへ流れるというような不変の法則のことを言う。
そして私たちは今の農業のあり方が水の流れのように理にかなっているのかをデータを活用し検証し判断していかなければならない。

現在の農業は”効率的である”ことが最重要視されているが高効率が必ずしも合理的であるとは限らない。例えば土地の集約は高効率だ。しかしそれは本当に合理的なのだろうか。ある一定のラインまでは合理的といえるがそれ以上は合理的とは言えない。なぜなら機能の集約は高効率であると同時に大きなリスクもはらむからだ。一つの大きな畑で作物を栽培するとそれは非常に効率的だ。だがしかし、ひとたび雹害やひどいゲリラ豪雨などに見舞われると一瞬にして全滅し、その瞬間破産が確定する。これが、効率性を落とし複数個所に圃場を分散しておくと2/3は生き残る可能性がある。この事例であれば結果として高効率ではないほうが良いということになる。
この効率性とリスク分散のバランスを整えることが私の言う「農業の合理化」だ。
そして現在、私たちは膨大な数のデータを一瞬で処理する技術と知識を持てるようになった。そうすることでようやく効率性とリスク分散のバランスをデータをもとに評価し計算することが可能になったのである。
データと情報処理技術を活用して「農業の合理化」を進める世代が私たち農業第四世代なのである。

つなげるバトン

私たちは先人から受け継いできた知恵を存分に活用している。それは経験則的なものもあるし、具体的な技術や効率化への努力である。そして私たちもこのバトンを中継ぐ者の一人として今取り組むべきは「農業の合理化」であり、それがこの次の世代が新たな革命を起こすための礎となると信じ日々頭を悩ませ新たな発展を続けていこうと思う。


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